「生みの苦しみ」
作品をつくり出すことは、非常に苦しい作業です。
例えば、作詞の仕事などの場合。
先に曲があったり、
歌う人や、作品そのもののイメージがあったり、
プロデューサーの意向があったりと、
なにかと制約があることが多いものです。
もちろん、仕事なので、締め切りもあります。
最高傑作!と思っても、
ダメ出しされて、書き直しもさせられます。
必死にひねり出した、
我ながらよくできた歌詞の「全書き直し」を申し渡され、
「でも・・・」「だって・・・」と抵抗していたら、
「黙って書き直せばいいんだ!」と怒鳴られたこともあります。
電話をガチャンと切って、くやし〜〜っ!!と号泣しましたが、
それでもなんでもやらねばならぬのが仕事。
どうして自由に書かせてくれないの!?と、
やさぐれたこともあります。
しかしです。
人間は、正であれ、負であれ、
人からエネルギーをもらうもの。
人が定めること、
要求すること、
期待すること、
ダメ出しすること、
そのすべてに、相手の「気」、
エネルギーが宿っています。
そのエネルギーを自分のエネルギーにして、
作品を形にしたり、
世に出したりする力にすることができるのです。
たったひとりで、
締め切りもなんにもない状況で、
誰にも望まれていない作品を
完成させようともがいているとき。
それはそれは、孤独や焦りを感じます。
「私、なにやっているんだろう」と
途方に暮れる瞬間もあります。
この作品が世に出なくても、
誰も困らない。
誰も、この作品の種が存在していたことすら、
知るべくもない。
そんなものを、
生み出すことに、どんな意味があるのか。
例え生み出したところで、
それを誰が必要とし、喜ぶのか・・・
そんな自問自答スパイラルに陥って、
道半ばで放りだしてしまう人がどれほど多いことか。
根っからのクリエイター体質の私でさえ、
時に心がポキンと音を立てて折れそうになります。
そんなときは、「気」、エネルギーを、
外部から引っ張ってくるように行動してみること。
たとえば・・・
1.作品の発売日を先に発表してしまう。
2.宣伝を先にして、待っていてくれる人をつくる。
3.デモ(試作品)の段階で、
まわりの人にどんどん見せたり聞かせたりする。
4.パッケージングや広告などで、前もってお金をかける
5.可能な限りまわりを巻き込む
などなど。
締め切りを設定したり、周囲を巻き込んだり、
お金をつかったりすれば、
「気」が集中してくることに気づくはずです。
なんだか追い込まれていると感じたら、成功です。
苦しくても、ちゃんと作品は形になって世に出るでしょう。
人間、どっかで「えいやっ」と思い切れなかったら、
一歩も前に進めないもの。
自分ひとりでできないなら、
誰かにお尻を蹴飛ばしてもらうのが一番なのです。
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いつもブログ拝見しています。
レッスン第2期に参加したかったのですが複数日程都合がつかず断念しました。
次回のスタート前にこんなことを言うのは恐縮ですが、第3期の開催を熱望しております。
よろしくお願いいたします!
ありがとうございます。励みになります。
第3期、開催できるよう、まずは第2期を盛り上げます!