大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「古い音楽は苦手で・・・」とか言うな!

   

ポピュラーミュージックが意味するものは時代によって違います。

 

ポピュラーミュージックが、やがて懐メロになり、クラシックミュージックになる。

 

そもそも、モーツアルトだって、バッハだって、シーンに登場したときは新人だったり、ポピュラー作曲家だったりしたのじゃないか。

 

レッドツェッペリンだって、もちろんローリングストーンズだって、クラシック・ロック呼ばわりされるのは、「勘弁してよ」なんじゃないか。

 

しかし、時間というのは非情なものです。
10年20年なんて瞬く間に過ぎます。

 

先日、生徒に「どんなの聞いてるの?」と聞いたら、「古い音楽が好きなんです。」と前置きしてから「マイケル・ジャクソンとか。」と言われて、心の中でひっくり返りそうになりました。

 

そういえば、「昔のロックが好きです」という子がいて、(ほぉほぉ、ゼップ?ベック?)と思いながらその先のことばを待っていると、「オアシスとか」と言われて、これまた吉本の芸人さんよろしく、ずべっと滑ったこともあったわね。。。

 

 

流行は刻一刻と流れて行くわけで、今さら「ベルボトムジーンズにロンドンブーツに長髪」だの、「髪の毛ワンレン、ハマトラ、極太眉毛」だの、「聖子ちゃんヘアにピンクハウスできゃぴきゃぴぶりっ子」だのは、ある程度以下の世代には、ちょんまげを結ってるくらいの違和感があるかもしれません。(リバイバルは別ですが)

 

いや、ちょんまげまでは行かないまでも、「サザエさん」とか「三丁目の夕陽」くらいのレトロ感があることは間違いありません。

 

 

じゃ、若者は若者の文化だけ追いかければいいのか?

 

ちょっと考えてみてください。

10年前に流行っていた曲で、今も変わらず大好きな曲って何曲くらいありますか?

10年前に、流行っているからと買った服で、今も毎日のように着る服は?

 

クラシックと呼ばれるようになっても、毎日のように聞かれている音楽や、好きで好きでたまらないという人が世界中にいるというバンドが、どんなにすごいか、わかるでしょうか?

 

毎日モーツアルトを何時間も練習するという人が、世界には無数にいます。
その理由を100人に聞けば、おそらく100通りの答えが返ってくる。

歴史を越えて生き続ける音楽って、そういうものです。

 

「懐メロ」「クラシック」といわれるようなっても、聴きつがれ、憧れ続けられるアーティストたちや、その音楽は、それだけ奥が深く、今の音楽に重要な影響を与えているもの。

 

 

クラシック音楽を勉強する人のすべてが、モーツアルトやバッハを絶賛するわけではありません。

しかし、必ず一度は向き合って、しっかり消化するもの。なぜなら、彼らが、パイオニアで、そこから今のクラシック音楽がはじまっているから。

 

クラシックと呼ばれるようになったポップミュージックやロックにも、同じくらいの情報や歴史が詰まっていることに気づくのは、今はまだ、極一部の若者だけです。

 

そういう扱いになっているアーティストも、せいぜいビートルズやカーペンターズくらいでしょう。

しかし、いつかバッハやモーツアルトのような定義でロックが学ばれる日も来るかもしれません。

 

それはそれで、リアルタイムの人たちには悲しいのでしょうが、歴史ってそういうものだから仕方ないですね。

10690262 - rock girl with guitar at countryside. photo in old color image style.

 

7月24日(日)スタート『MTL ヴォイス&ヴォーカル レッスン12 』第2期。キャンセル待ち受付中。

 

 - 音楽

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

人はみんな、違うのだ。だから、おもしろいのだ。

音楽というのはある種のトリガーで、 サウンドやフレーズや声が 感情とか記憶とか、 …

解釈は聞き手にまかせる

ずいぶん前のことになります。 アメリカ人の友人が主催する、 英語で書かれた詩ばか …

あなたはどのタイプ?ミュージシャンの特性チェック!

「ミュージシャンには、3種類いるよね。」 先日そんな話を、アーティストであり職業 …

なんだ、カラオケって、楽しいじゃんっ!

あたくし、今さら言うのもなんですが、 実は、カラオケが大の苦手でした。 これ、ミ …

すべては「可能」であり、「正しい」は自分が決めるのだ。

「クラシック」という音楽のイメージに、 ヨーロッパ的華やかさと優雅さを重ね、 妄 …

「完璧」の基準が「自分」がつくる。

何年か前まで、夏休みの宿題として、 「大好きな曲を1曲だけ選んで、徹底的に練習し …

現実が自分にフィットしないときに、 なぜ、自分を合わせに行こうとするのか?

生涯を共にできるようなメンバーになかなか巡り会えず、 日々バンドの人間関係に悩ん …

すごい演奏は、お互いの音をちゃんと聴くことからはじまる。

生演奏の面白さは、コミュニケーションの面白さです。 お互いの音を聞きながら、寄り …

「R&Bって、お洒落やねん」

連日ワークショップの仕込みをしながら、 遠い昔の友との会話を心の中で無限リピート …

「無能な奴はロックをやれ」

ず〜っと見たかった、『セッション』という映画を見ました!   音楽映画 …