”飽きない”。”慣れない”。”手を抜かない”。
何年やっている曲でも、
自分自身がその曲と向かい合うたびに、
新しい発見があったり、
新たな感動を取り出せる曲というのがあります。
オリジナル曲でも、カバー曲でも、
そういう曲こそが、自分にとって生涯の友となる曲。
何度歌っても色あせることのないパッションをもって
人に届けることができる。
そんな曲と何曲出会えるか、
そんな曲を何曲書けるかが、
音楽家として、ヴォーカリストとして、
鮮度を失わずに人前に立ち続けられるかどうかを、
大きく左右するものです。
同時に、自分が演奏する、歌う曲に対する態度というのも、
常に試されています。
ひとつのことを10年も20年も続けていれば、
誰だって、勘や手癖で、
ある程度のことはできるようになります。
「あぁ、いつものあの曲ね。」
「よくやってる、あの曲みたいに歌えばいいのね。」
どんなに優れたシンガーでも、
プレイヤーでも、
そんな甘えやおごりがあっては、
新鮮なプレイ、感動的なプレイを届けることはできません。
何十年もの間、
毎日、店の看板メニューを自ら食し続けたという、
名店の店主の話を聞いたことがあります。
何年も、何十年も、毎日食べても美味しいと感じられるか。
そんな自分の店のメニューに対するこだわりと愛情。
どんな油断も排除して、
常に厳しく看板メニューに向かい合おうというストイックさ。
自分の気持ちの鮮度を保つために、
あれこれアレンジしたり、アドリブしまくったり、
ということではない。
次から次へと新メニューを開発すれば、
結局看板メニューも定番メニューも生まれません。
「いつものあれ」を求めて来るお客さんに、
常に、新しい感動や興奮を与え続けられるかどうか。
本物のプロフェッショナルは”飽きない”。
本物のプロフェッショナルは”慣れない”。
本物のプロフェッショナルは”手を抜かない”。
何度でも自ら言い聞かせたいことばです。
◆10月29日(日) 鹿児島にて【MTLワークショップ in 鹿児島】を開催します。
◆コアでマニアックなネタを中心に不定期にお届けしているヴォイトレ・マガジン『声出していこうっ!me.』。限定公開のレッスン映像もごらんいただけます。購読はこちらから。
◆自宅で繰り返し、何度でも。ヴォイス&ヴォーカルのすべてが学べる【MTL Online Lesson12】。
次期受付開始は今しばらくお待ちください。
関連記事
-
「今日はノドの調子が悪くて・・・」
誰にだってのどの調子の悪いときというのはあります。 どんなに気をつけていても、あ …
-
「完璧」の基準が「自分」がつくる。
何年か前まで、夏休みの宿題として、 「大好きな曲を1曲だけ選んで、徹底的に練習し …
-
解釈は聞き手にまかせる
ずいぶん前のことになります。 アメリカ人の友人が主催する、 英語で書かれた詩ばか …
-
確信だけが、人の心を動かす。
「MISUMIさん、バッチっす!OKです!」 レコーディングのお仕事では、 歌っ …
-
「ダメ出し」こそが、プロの技を試される仕事なのだ
他人にダメ出しをする人には、 自分のためにダメ出しをする人と、 相手のためにダメ …
-
絶対音感、いりますか?
つい先日、某テレビ局の方から不思議なお仕事の依頼があり、 お話を伺いました。 内 …
-
「圧倒的な安心感」をくれるプレイヤーの条件
魅力的なプレイヤーたちとのパフォーマンスはドキドキ感の連続です。 心地よい音色と …
-
「このくらいデカい音出さなくちゃいい音出ないだろ?」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2016年1月、M …
-
音楽は進化を続けている
「最近どんなの聞いてるの?」 若いアーティストたちのカウンセリングで、 彼らの好 …
-
未体験ゾーンの扉を開く!〜生配信ライブを体験しました〜
長いことひとつの世界で仕事をしていると、 「未経験」なことと縁遠くなります。 特 …
- PREV
- 伸び悩んだらやるべき3つのこと
- NEXT
- 基準が曖昧なものほど奥が深いのだ