説明不要。ダメ出し無用。
「う〜ん。イマイチだなぁ。。。他にないの?」
アイディアや歌詞、曲デモなどを提出して、
こう言われたら、その時点でアウト。
プロデューサー、ディレクターという類の人たちの、
こうした直感による判断が覆ることは、まず、滅多にありません。
「アレンジをもう少し練れば、
うんとまとまるのではないかと思うのですが・・・」
「後半のサビが結構いいので、もう少し聞いていただけば・・・」
提出する方としては、
いろいろ説明したくなるのが人情。
「これで決めなければ、大変なことになる・・・」
と、焦る時ほど、人は雄弁になります。
しかし、言えば言うほど逆効果。
「なら、アレンジ練ったやつを持ってきて」
「後半にならなきゃ、良さがわからないような曲、だめだろう!」となる。
以前、メジャークライアントのCM曲に英詞をつけるお仕事に
抜擢されたことがあります。
CMのお仕事のご多分に漏れず、ケツかっちん。
夜にもらった曲に、朝までに歌詞をつけ、
夕方には、スタジオに入ってデモを録る、という、
なかなかにハードなお仕事でした。
あーでもない、こーでもないと悩んだあげく、
やっとの思いで、仕上がった歌詞をプロデューサーさんに送ると、
いきなり、
「この出だしの”Never”って単語、ダメだから変えて」。
Never Give Upということばの、
“Never”がネガティブだからNGだ、と言うのです。
サビ始まりの、いわば、決めぜりふのような言葉です。
ストーリーも、サビの韻も、
その言葉を元に組み立てられています。
正直、「はぁ〜!?」となりそうな気持ちを抑えて、
可能な限り冷静に説明をはじめました。
「Neverという単語を単独で使っているわけではないですし、
Never Give Upというのは、とてもポジティブなメッセージで・・・」
「あなたの意見は聞いてない!
黙って書き直せばいいんだっ!!!!」
泣く子も黙るプロデューサーとして有名だった方です。
すごみのある声で、そうぴしゃりと言われ、
「わかりました」と電話を切りました。
(電話を切った後、悔しさのあまり絶叫したのは言うまでもありません・・・)
後になって、冷静に考えれば、
そのプロデューサーさんの言うこともごもっともと理解できますが、
そこはクリエイター。
夢中でつくっていて、余裕がないと、
なかなか他人のことばを素直には聞けないものです。
さて。
制作者の意図と、
クライアントの意見が食い違うことは日常茶飯事ですが、
本当にいい作品、
影響力のある作品は、
クライアントの思惑を越える説得力を持つことがあります。
求めていたものとは全然違うけど、
なんか、すんごいいいから、これでいこうっ!となる。
そのクライアントからNGが出ても、
周囲に影響を与え、他の仕事に繋がっていくこともあります。
まずは、自分自身、
「これが正しい」という感覚を得られるような作品をつくること。
作詞作曲しかり、書き物しかり、
そして、楽器の演奏も、歌のパフォーマンスもしかり。
それがたとえ、クライアントの思惑と違っていたとしても、
その作品、パフォーマンスのチカラが、
やがて、次のステージへの道を切り開いてくれるのです。
ダメ出し無用、説明不要な作品をつくる。
音を出す。
いつも目差したい、ゴールです。
関連記事
-
-
ヴォーカリストだって、もっと「音色」にこだわる!
「ロックは出音とグルーヴ、ステージプレゼンス」 と繰り返し書いてきました。 筆頭 …
-
-
極度の緊張に負けない自分になる|本番で力を発揮するコツ
「極度の緊張」のため、肝心な舞台でしくじる。 舞台度胸がないとか、練習が足りない …
-
-
「与えるチカラ」と「欲しがるチカラ」のパワーバランス
音楽は人に感動やエネルギーを与えるもの。 音楽家であれば、誰もが多 …
-
-
一生OKの出ない地獄
「あ〜、今のとこ、ちょっと音取れてないみたいなんで、 もう1回お願いします。」 …
-
-
「欲しい本が見つからなかったら、自分で書け」
「わからないこと、困ったことがあったら本屋に行け。 世の中には、自分と同じことで …
-
-
「いつものあれ」でお願いしますっ!
ずいぶん前のこと。 たまたまつけたテレビに、 ホイットニー・ヒューストンが出てい …
-
-
最高じゃなきゃ、意味がない
昔、友人が、 「ライブであまりにお客さんのノリが悪くて、頭にきた。 『お前ら、も …
-
-
歌には”仕掛け”と”意図”がある!
昨今、カラオケのおかげか、 はたまたYouTubeやアプリのおかげか、 巷に歌の …
-
-
自分自身を「スポットライトのど真ん中」に連れて行く。
スポットライトって、すごいなぁと、 ヴォイトレに来るアーティストたちの、 コンサ …
-
-
「500円玉大の打点」を求めて、今日も声出していこうっ。
先日、よくご一緒する、某有名ドラマーの楽器の前に座らせてもらう機会がありました。 …
- PREV
- まず、やれ。文句を言うのはそれからだ。
- NEXT
- 無限大に見える作業量を前に、ひるんだら負けだ!

