最終判断は「直感」!
「ここまで歌えるようになったら、最低限の準備は整った」
「今の自分が歌える最高レベルの歌が録音できた」
本番前の練習や、レコーディングのように、
締め切りが決まっているとき、
もしくは何かしらの区切りをつけなくてはいけないとき、
果たして、自分はベストを尽くしたのか?
自分のパフォーマンスは一定レベルに達しているのか?
これで満足してしまっていいのか?
そんな風に自問するのは、
プロや一流を目差すパフォーマーなら当然のことです。
ディレクターやプロデューサ−、はたまた先生のような立場の人が、
「これでいい」「まだまだだ」と判断してくれる現場は、
そういう意味では、楽なのです。
もちろん、ダメ出しされて落ち込むこともありますし、
思い通りに歌わせてもらえなくて苛立つこともありますが、
それでも、要求に全く応えられないほど、
自分の実力や準備が追いつかないというのでない限り、
その時のパフォーマンスに対しての評価の責任を
一緒に担ってくれる人がいるからです。
日頃の練習やトレーニングは、
自分自身を判断する能力を高めるためのものでもあります。
自分自身の歌のレベルや、
何がまずくて、何がうまくいっているかを自分でジャッジできなければ、
本当の意味で上達していくことは不可能だからです。
そうした判断基準を学ぶことこそが、
先生やトレーナーのような人につく意義でもあります。
では、最終的に、「これでいい」と判断するときの基準はなんなのでしょう?
今の時代、ある程度のことは数値化が可能です。
ビートがあわないとか、ダイナミクスがばらついているとか、
ピッチがゆれるとか・・・
わかりやすく数値化できることなら、迷いなく判断できる。
でも、声の質、歌い回し、雰囲気、テンション・・・
人間の感情の起伏にともなって変化する歌というものを、
「これが最高のテイクだ」と判断する基準は・・・?
そう、誰もが口をそろえて言うように、
最後は「直感」です。
ふっと腑に落ちる感覚。
「よっしゃ。」と、自分の中でGOサインが出る感覚。
ざわざわと、興奮するような、それでいて、確信できる感じ。
そこに落とし込めたパフォーマンスは、
必ずいい評価がくだるものです。
自分自身、何度聞いても、何年経ってから聞いても、
その確信が揺るがないような「直感」を得ることさえあります。
逆に言えば、
そうした感覚が得られないうちは、まだまだ満足するな、
準備も修行も足りてないぞ、ということ。
直感は、神様のくれるご褒美のようなものなのかもしれません。
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