毎日プレイしているだけじゃ「上達」はしない
「人生で一番練習した」と言い切れる時期はありますか?
おそらく、ほとんどの人は、学生時代と答えるのではないでしょうか?
次々とできないことに挑戦し、
できるようになるまで何度も、何日も、練習する。
もっともっとと上を目差しながら、
さまざまな音楽に触れ、
新しいプレイや、音楽性を開拓していく。
この時期は、人生で一番、テクニックを磨く時期でもあるでしょう。
やがて、プロ・ミュージシャンともなれば、
日々の仕事が、演奏したり制作したりすること。
レコーディングやコンサートなど、
緊張感のある本番が続けば、
もちろん自身のプレイの精度は上がっていきます。
ここでいう「精度」というのは、
一音一音のクオリティや、
イメージしたプレイを確実にこなせる正確性。
つまり、プロフェッショナルたちは、
日々の演奏を通じ、
そのプレイ・スタイルを深め、極めていくことになるのです。
では、テクニック的に上達していくのかというと、
どうやら、それは少し別の問題。
自身のアルバムのレコーディングや、
予算的、時間的に余裕のあるプロジェクトでもない限り、
誰しも、わざわざ自分に苦手なプレイを試したりはしません。
そもそも、苦手なことをわざわざやってくれ、と言ってくる
無茶振りなディレクターもいません。
ミュージシャンに望まれるのは、
それぞれの個性際立つ、他の人には真似できないプレイを
短時間で高精度にこなすこと。
実験や練習は自分ちでやってくれ、ということです。
つまり、どんなに仕事をこなしても、芸域が広がることも、
テクニック的にできないことができるようになっていくこともないのです。
もちろん、ひとつのスタイルを徹底的に極める、
というプレイヤーもいます。
「ロック」と言えば、この人。
「グルーブ職人」と言えば、この人。
「ハイトーン」と言えば、この人。
・・・トッププロとは、そんな領域の人たちかもしれません。
しかし、「スタイルを極める」と「手癖でやる」は、
似て非なるもの。
すっかすかの引き出しから、
毎回なけなしのフレーズを取り出していたのでは、
すぐに手詰まりになって、飽きられてしまいます。
定期的に、自分のプレイを棚卸しし、
細部にわたってチェックしてみること。
時に、初心に返って、
新しいテクニックに挑戦し、自分のものにしてみること。
長く活躍しているプレイヤーほど、
必要なことかもしれません。
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