大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

歌の学校やレッスンに通う 5つのメリット

      2015/12/20

「そもそも、音楽やるのに、
なんで学校なんか行く必要があるわけ?
自分の問題なんだから、人に教わる必要ないじゃない?」

音楽業界には、こんな風に、
「学ぶこと」に否定的なミュージシャンもたくさんいます。

こんな発言をする人はたいがいが天才肌。
若かりし頃から才能やルックス、チャンスに恵まれて、
活躍して来られた人たちがほとんどです。

業界の2割ほどに満たない天才たちの言うことや、
昔気質の業界人たちの言うことを聞くのもいいでしょう。

とはいえ、
正直、凡人が彼らのマネをして、自分一人でがんばっていたら、
いたずらに時間ばかりが過ぎてしまいます。
学校やレッスンに通うメリットは5つ。

1. 自分自身のレベルを客観的に知ることができる

上達しない理由のひとつに、
「自分で自分の歌を的確にジャッジできない」があります。

今の自分はどんなレベルなのか?
どんな問題があるのか?
それはどのようなトレーニングで解決できるのか?

そんな客観的な情報をもらうことは、非常に有益です。

2. 同世代のアマチュアのレベルを把握することができる

ある程度の思い込みは、ミュージシャンである以上必要不可欠ですが、
凡人が「井の中の蛙」のままでは、どこへも行かれません。

同じカリキュラムを学ぶ、同世代のアマチュアたちのレベルを知り、
焦ったり、悔しがったり、いい気になったりすることも大切です。

傷つくのを恐れて、人前に出られないのでは最悪です。

学校のような、それほど競争が激しいとは言えない場所で、
ワザと共に、心を鍛えることも必要です。

3. 音楽仲間ができる

ミュージシャンの知り合いをつくるのに、
最適なのは、ミュージシャンが集まる場所に身を置くこと。

プロになりたい。
きちんと、音楽を学びたい、という姿勢で集まる仲間たちは、
いわゆるアマチュア指向のバンドとはひと味もふた味も違います。

右を見ても、左を見ても、
ミュージシャン志望の若者たちが集まる場所に身を置けば、
いやが上にも仲間ができます。

逆に言えば、そんな環境に身を置いても、
バンドのひとつもできないようなら、音楽は無理です。

 

4. 悩みや疑問を共有し、高めあう仲間ができる

昔からの友人の何パーセントが、
「私、ピッチが悪くて」
「リズムが悪いって言われるんだけど、姿勢のせいかなぁ」
「業界の人と知り合うのって難しいよね」
なんて話を、心の底から理解してくれるでしょう。

前置き不要、話し始めた瞬間に、
「そうそう。わかるわかる。」
「先輩が言ってたけど、○○するといいらしいよ」

そんな風にスムースに会話が進む仲間がいれば、
毎日の練習もレバレッジがかかります。

とはいえ、そんな風にポジティブに仲間意識を育てられるのは、ごく一握り。

多くが、傷を舐め合い、共に逃避行動に出てしまいます。

一握りの勝ち組にさえなれないなら、やっぱりプロは無理。

自分の弱さと向き合うためにも、
いい環境に身を置くことは、とても大切です。

5. トレーナーやインストラクターが長年かかって身につけた、
スキルや効率的なトレーニング方法を知ることができる

トレーナーやインストラクターが10年かかって、
やっと気づけたことを、一瞬にして教えてもらえる。
こんなお得なことはありません。

先輩ミュージシャンの経験をバーチャルに、
短時間で体験できるわけです。

かつては弟子として、師となる人に付き添って、
さまざまなことを学んだようですが、それも一長一短。

気を付けなければいけないのは、インストラクターの選び方。

プロ経験や、実際のパフォーマンス経験はもちろん、
感覚を言語化する能力や、話の上手さなどがある人ほど、
レッスンにレバレッジがかかります。

相性のあう、優れたインストラクターと巡り会うために、
情報収集を怠らないことも必要ですね。

いかがでしたか?

音楽を学ぶ場所に出入りしてみたいと思いましたか?

今、そんな場所に身を置いている人は、きちんと活用できているでしょうか?

人生で最も大切なものは「時間」、「お金」、「若さ」。

可能な限り、有効に使いましょうね。

 

30100136_s

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  関連記事

英語の歌詞を完璧に覚えるオタッキーな方法

歌詞を覚えることの大切さについては、 もう、口が酸っぱくなるほど言い続けているの …

ストライク率を限りなく100%に近づける

こどもの頃からずっと謎に思っていることのひとつに、 「ボーリングって、なぜゲーム …

歌がうまくなる人は、やっぱ「どM」。

うまく歌えない時は、誰だって、自分の歌を録音して聞き返すのは苦痛です。 失敗した …

学ぶ姿勢

誰かから何かを学ぶときは、 ひととき自我のスイッチを切り、 その人の言うことを、 …

「マスターベーション」とか言うな!

歌は音程のついたことば。 テクニックがどんなにすぐれていても、どんなに巧みな音楽 …

自意識の暴走を屈服させる

ボーカリストも、ミュージシャンも、役者も、ダンサーも、 おそらくはパフォーマーと …

キーは、歌えりゃいいってもんじゃないんですよ。

カバー曲を歌うとき、 無条件にオリジナルのキーで歌っている人は多いはず。 私自身 …

「ビートを立てる」って難しい。〜Singer’s Tips #11〜

「もっとビート立てて、リズムよく歌って。」 などというディレクションを受けること …

スーパーファルセット(すんごい高い声)出したい?

スーパーファルセット、 ホイッスルヴォイスなどと聞いて、ピンとくるでしょうか? …

「とにかくやる」

「やりたくないときほど練習をすると、やってよかったと思えるわよ」   …