リズムの「点」に意識を向ける
2016/09/26
リズムのある音楽には、必ず「点」がある。
これが、私の解釈です。
ロック、ポップス、R&Bなどなど、
一般的にポピュラー音楽と言われるものには、
一部の例外を除いて、
リズムの「点」という、基準があるものです。
プレイヤーも、ヴォーカリストも、
この「点」を基準としながら、
それぞれのパフォーマンスをするのです。
最もわかりやすいのがドラムです。
ドラムという楽器は、一部の金物をのぞき、
一旦セッティングしてしまえば、
特殊なパフォーマンスでない限り、
音の長さを変えたりすることはありませんし、できません。
だからこそ、まず「点」をどうとらえるか、なのです。
さて、ドラムとシンクロしながら「点」をとらえ、
グルーブを表現するのがベース。
ドラマーとベーシストが、お互いの「点」をあわせようと、
顔を見合わせて、リハーサルをしているのを見たことはないでしょうか?
こうして、全体の「点」の土台を、
ドラム&ベースがつくってくれます。
(もちろん、実際には「点」だけでなく、
「グルーヴ」としてのリズムのうねりなのですが、その話はまた今度)
ギターやピアノの、
いわゆるウワモノと言われる楽器は、
この「点」の上に、また自分たちの「点」を乗せていきます。
キメなどで、ビートの「打点」が乱れると
スピード感がなくなったり、
フレーズがばらけて気持ち悪いですし、
ぐいぐいビートで押すような音楽で、
楽器全体の「点」が乱れていたら、
演奏がシャキッとしまらないものです。
ところが、です。
ヴォーカリストの多くは、
この「点」の意識が欠けています。
リズムや音の長さ、グルーヴなどには、
それなりに気を使っているものの、
楽器のみんなが積み上げた、
ビートという「点」を意識できないのです。
だから、歌がシャキッとしない。
切れや、スピード感が出ない。
キメどころで、音が流れる。
スリルがない。
さらに言えば、「点」で立って欲しい音が抜けてこないので、
歌の輪郭、エッジがぼんやりした印象になってしまいます。
「点」をとらえる練習はとてもシンプルです。
1.まずは、楽器のとらえている「点」にしっかり意識を向ける。
2.歌詞を取っ払って、Dadadaで、がちっと「点」をあわせて歌う。
3.歌詞のことばの音(母音、子音など)のどこで「点」をとらえるべきかをしっかり分析し、練習する。
この3点だけです。
最初は、非常に難しく感じるかも知れませんが、
リズムやビートに乗るのは自転車に乗るのと同じ。
一度覚えたら、ハマリが悪いと気持ち悪くなるものです。
まずは、「点」に意識を向けること。
今日からできますね。
関連記事
-
-
歌も演奏も一瞬で上達する華麗なる方法
長年にわたり、音楽学校や音楽大学で、 学生のアンサンブル授業を担当してきました。 …
-
-
なくて七癖、カツゼツ編
自分の発音のクセ、知っていますか? 方言やアクセントの話ではありません。 50音 …
-
-
精度の高い”フォルティッシモ”を持て!
ダイナミクス、すなわち音量の強弱のコントロールが 音楽表現の大切な要素であるとい …
-
-
「宝物」と呼べる情報、いくつ持っていますか?
「この写真は19〇×年の△△コンサートのやつだね。 持ってるギターが○○で、ピッ …
-
-
腰が硬い人はリズムが悪い!
以前教えていた音楽学校で、 「演奏中の動きがぎこちない学生が多い」という話になっ …
-
-
「好きになれない課題曲」から徹底的に学ぶ方法
自分が心から感動し、お手本にし、研究した、いい音楽を、後進にシェアしたい。 &n …
-
-
焦燥感や無力感が、 明日の自分をつくるエネルギー
もしも、人間のカラダに、 「歌がうまくなるスイッチ」というものがついているなら、 …
-
-
で、「グルーヴ」ってなんなん?
「あいつのプレイ、グルーヴしてないんだよね」 「もっとグルーヴ感じて歌わないと〜 …
-
-
集中力ってのは、訓練だ。
「売れてるプロほど、ますます上達する」と言われます。 そもそも売れ始める時点で、 …
-
-
練習の結果が出ない3つの理由
「毎日練習してるんですけどね・・・」 結果の出ない人ほど、 自分がいかに練習に時 …
Comment
申し訳ないですが、リズムを点でとらえるから日本の音楽はちんちくりんになるのだと思いますよ。打点が合わないのに強烈なグルーヴを作り出すネヴィルブラザースなどの黒人バンドをご存知無いですか。点で合わせるのが一番うまいのはコンピュータですね。
>sugiさん
ご意見ありがとうございます。
「打点をひとつにする」という意味ではないのですが、そのようにとらえられたとしたら、私の文章力の不足でしょう。
次回からは一般の方にもきちんとご理解いただけるよう、さらにわかりやすい文章を心がけたいと思います。
misumi先生
私はよく伝わってきました、内容が。グルーブやノリの前の、ONE ですね。リズムがうねっても、ONE があえば、意識をそこに向ければ、グルーブも生まれると思います! いつもわ明解な記事、ありがとうございます!
>kazuさん
こちらこそ、ありがとうございます!
はい。ONEです(^^)