大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

緊張に打ち克つ。

   

多くの人に相談される悩みのひとつに、
「人前に出ると緊張してしまって、声が出なくなる」
というのがあります。
緊張するのはアドレナリンの暴走です。

アドレナリンは脈拍を速くし、血圧を上げ、
闘争や逃走にふさわしいカラダの状態にしていくストレスホルモン。

適度に分泌されることで、
集中力を高め、パフォーマンスを上げてくれます。
自分のポテンシャルをいきなりMAXにしてしまう、
「火事場の馬鹿力」を発揮させてくれるのも、実はアドレナリンのおかげだそう。

 

しかし、緊張してしまう人は、
この「適度に」がうまくいかないようです。

 

心臓がバクバクバクバク、口から飛び出しそうになる。
頭にか〜〜っと血が上る。
手が震える。頭の中が真っ白になる。
手足が冷たくなる。。。。

 

こうした状態は、実はボイトレをはじめると、
いや、もっと限定すれば、呼吸法を体得すると、かなり軽減されます。

カラダの軸をしっかり感じ、重心を下げ、
意識を丹田に集中させて、ゆっくりと吐く。
アウターマッスルをリラックスさせ、入って来る息で、
カラダを中から外に向かって広げる。

これが正しくできれば、
多少緊張していても、カラダがコントロール不能になることはありません。

「自分は、どんな時でも確実に、自分のカラダをコントロールできる」という自信は、
やがて、人前に出ても緊張しないメンタルをつくってくれるのです。

 

「リラックスしなくちゃ」とがんばるのは逆効果。

リラックスしよう、しようと思うほどに、
自分の高速で脈打つ心臓の音や、速い呼吸が耳について、
どんどん緊張に拍車がかかってしまいます。

 

まして、あまりにリラックスしてしまっては、
寝起き同様、「戦う力」が引き出されませんから、
集中力も出ませんし、パフォーマンスもあがりません。

 

いつも言っていますが、「緊張と興奮は同じ種類のエネルギー」。
「緊張してきた〜」と思わずに、「興奮するぜ〜!」と
ポジティブに考えるだけでも結果は全く違ったものになります。

 

ちなみに、

スタジアム級のコンサートをするような世界的大物のシンガーでも、
「緊張で吐く」という人はいるようです。

そうかと思えば、デビューしたての新人でも、
どんなに業界の偉い人の前で歌うのも、大勢の人前で歌うのも、
全く緊張しない。というツワモノもいました。

「だって、『みんな所詮ただの人』って思っちゃうんです。」

というのは彼女のおことば。
もちろん、みんなそうやって思いたいわけなんですけど、
そう簡単にうまくいかないから、苦労しているんですけどね。

 

 

 

16089236_m

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, カラダとノドのお話

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

人間がカラダをつかってやることの基礎って、すべて同じなんだ。

うん十年ぶりにスキーというものに出かけてきました。 ぶっちゃけ、学生時代に友だち …

学習は、頑固で怠惰な自分の脳との戦いだ!

本来外来語であることばを、 そのまま日本語の音に置き換えただけの「カタカナ語」。 …

そんなこと、 何年やってても、絶対にうまくなりません。

プレイヤー目指して、 日夜がんばっていたにもかかわらず、 てんで上達しなかった自 …

「左脳で感じる」練習法

「おとなは左脳で感じる」。 私の持論です。 ある程度成長すると、 こどものように …

で、「グルーヴ」ってなんなん?

「あいつのプレイ、グルーヴしてないんだよね」 「もっとグルーヴ感じて歌わないと〜 …

『ハードスケジュールなときこそ確認したい声のためにできること』

月末から鹿児島でした。 4泊5日の日程で、 ワークショップ、リハーサル5時間、ボ …

「この歌、いいなぁ」には必ず理由がある!

「売れる曲には、必ず理由がある」 あるヒットメーカーが教えてくれたことばです。 …

解像度を上げろ!

歌で伸び悩んでいる人や、思ったように評判が上がらない人に、真っ先に疑って欲しいの …

「ライブ直前って、何します?」

「ライブの前って何食べますか?」 「お酒飲みますか?」 「やっぱり結構声って出し …

練習の成果は「ある日突然」やってくる

はじめて「上のF」が地声で出た瞬間を、 今でも鮮明に覚えています。 学生時代は、 …