緊張に打ち克つ。
多くの人に相談される悩みのひとつに、
「人前に出ると緊張してしまって、声が出なくなる」
というのがあります。
緊張するのはアドレナリンの暴走です。
アドレナリンは脈拍を速くし、血圧を上げ、
闘争や逃走にふさわしいカラダの状態にしていくストレスホルモン。
適度に分泌されることで、
集中力を高め、パフォーマンスを上げてくれます。
自分のポテンシャルをいきなりMAXにしてしまう、
「火事場の馬鹿力」を発揮させてくれるのも、実はアドレナリンのおかげだそう。
しかし、緊張してしまう人は、
この「適度に」がうまくいかないようです。
心臓がバクバクバクバク、口から飛び出しそうになる。
頭にか〜〜っと血が上る。
手が震える。頭の中が真っ白になる。
手足が冷たくなる。。。。
こうした状態は、実はボイトレをはじめると、
いや、もっと限定すれば、呼吸法を体得すると、かなり軽減されます。
カラダの軸をしっかり感じ、重心を下げ、
意識を丹田に集中させて、ゆっくりと吐く。
アウターマッスルをリラックスさせ、入って来る息で、
カラダを中から外に向かって広げる。
これが正しくできれば、
多少緊張していても、カラダがコントロール不能になることはありません。
「自分は、どんな時でも確実に、自分のカラダをコントロールできる」という自信は、
やがて、人前に出ても緊張しないメンタルをつくってくれるのです。
「リラックスしなくちゃ」とがんばるのは逆効果。
リラックスしよう、しようと思うほどに、
自分の高速で脈打つ心臓の音や、速い呼吸が耳について、
どんどん緊張に拍車がかかってしまいます。
まして、あまりにリラックスしてしまっては、
寝起き同様、「戦う力」が引き出されませんから、
集中力も出ませんし、パフォーマンスもあがりません。
いつも言っていますが、「緊張と興奮は同じ種類のエネルギー」。
「緊張してきた〜」と思わずに、「興奮するぜ〜!」と
ポジティブに考えるだけでも結果は全く違ったものになります。
ちなみに、
スタジアム級のコンサートをするような世界的大物のシンガーでも、
「緊張で吐く」という人はいるようです。
そうかと思えば、デビューしたての新人でも、
どんなに業界の偉い人の前で歌うのも、大勢の人前で歌うのも、
全く緊張しない。というツワモノもいました。
「だって、『みんな所詮ただの人』って思っちゃうんです。」
というのは彼女のおことば。
もちろん、みんなそうやって思いたいわけなんですけど、
そう簡単にうまくいかないから、苦労しているんですけどね。
関連記事
-
-
ゆっくりやってもできないことは、速くやってもダメ
そんなの当たり前でしょ?と言われそうなタイトルですが、 実は、この当たり前を知ら …
-
-
解像度を上げろ!
歌で伸び悩んでいる人や、思ったように評判が上がらない人に、真っ先に疑って欲しいの …
-
-
「そこまでやる?」がオーラになる。
「そこまでやらなくても・・・」 思わず、そんな風に言いたくなるほど、こだわりの強 …
-
-
「まったくおなじ音」は2度と出せない?~SInger’s Tips #19~
長年歌をやっていて、 もっとも難しいと感じることにひとつに、 「おなじ音をおなじ …
-
-
“なんちゃってコピー”は、いい加減卒業する。
賛否両論あると知りながら、 ここでたびたび完コピについて取り上げるのは、 今も昔 …
-
-
音なき音楽をキャッチする
歌や音楽を学びたい、極めたいと思うとき、 ついつい、音楽のことばかりを考え、 ま …
-
-
音楽家としての「表現の自由」を謳歌する
「テクニックを身につけるのは、選択の余地を増やすためである」 そんなお話をよくし …
-
-
リモートはコミュニケーションのハードルを上げた。
最近、連日のように受ける側として、 オンラインセミナーに参加しています。 学ぶと …
-
-
「迷い」に耳を貸さない覚悟
「これだ!」と閃いて、 ワクワクはじめたはずなのに、 なぜかうまくいかない、 こ …
-
-
声帯様、ごめんなさい。
“鉄のノド”、MISUMIです。 いや、”鉄 …
- PREV
- 「まだまだ」と心が騒ぐから・・・
- NEXT
- 新年おめでとうございますっ!

