解像度を上げろ!
歌で伸び悩んでいる人や、思ったように評判が上がらない人に、真っ先に疑って欲しいのは、自分自身の耳の、そして表現の解像度です。
解像度というのは、画像などのデータの精細さを示す数値のことですが、あたくし最近、この「解像度」ということばを歌に置き換えて、頻繁に使っております。
例えば、解像度わずか11万画素だった初期のガラケーに対し、iphone15のメインカメラは4800万画素。436倍の精細さで画像をとらえてくれるわけで、そりゃもう見た目の鮮明さは天地の差があるのは当たり前。
「画素数」がピンとこないなら、視力1.5の人と0.01の人との見え方の違いと考えてもらってもいいでしょう。
歌の解像度というのは、つまり、人の歌、自分の歌を聴いた時のとらえ方の鮮明度。
歌の解像度が高い人と、ガラケー並みの人とでは、同じ歌を聴いても、拾える情報量が、もう天と地ほど違う。
何でそう聞こえる?
どうしてそれでいいと思って人前に出せる?
見えてない、聞こえてないんだから、仕方ないといえばそれまでですが、
「これでいいや」という基準値が全然違うんです。
これでは、うまくなるはずがありません。
もちろん、聞き手としての解像度がどれだけ高くても、表現する能力がなければ、単なる評論家/オタクです。
鮮明にとらえたら、同じくらい鮮明に表現する力を持たなくてはいけない。
これが歌の表現力と呼ばれるものです。
どれだけ高性能のカメラで画像をとらえても、プリンターがへぼかったら、仕上がる写真は結局ぼんやり、不鮮明なものになります。
解像度が低い人は、自分自身の歌も解像度低くしか聞けないので、いつまでたっても表現力が上がらないわけです。
じゃ、どうするか。
そこに、自分がとらえられていない「何か」が存在すると仮定して、じっと聞く。
誰もが評価する素晴らしいシンガーと、自分自身の歌の何が違うのか、明確に見えてくるまで、徹底的に聞き倒す。
これ、心霊写真を見る感じに似ています。
きっとここに何か写ってる。
いや、絶対にいる。
ほら、なんとなく写ってない?
これ違う?
そうやってじーっと目をこらしていると、だんだんと、木の陰にぼんやりしたものが見えてくる。
もっと細かく見ていると、確かに人の顔が浮き上がってくる。
あると信じると、脳がそれを見ようとして働き出す。
もっと鮮明に、もっとリアルにとらえようと、どんどん神経系を開拓してくれます。
ただし、「脳は怠惰」と言われます。
ちょっとでもサボって、エネルギーを維持したい。
だから、「そんなの無理」とか、「今さら」とか、思いっきりネガティブ思考に陥るようなメッセージを送ってきて、なんとか学習を避けさせようとがんばるらしい。
脳の陰謀に屈して、さっさとあきらめるのも、
今に見ていろと、脳に言いきかせ、仕事させるのも、自分次第。
さて。どうします?
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