ギター&ヴォーカルは、なぜみんな姿勢が悪いのか?
2016/10/27
北は札幌から南は沖縄、いや奄美大島まで。
日本各地から、ヴォイトレにやってくるアーティストのみなさん。
その8割以上が、いわゆるシンガーソングライター。
そして、そのほとんどが、
ギター、またはキーボードの弾き語りというスタイルで、
ステージに立っています。
ヴォーカリストはカラダが楽器ということで、
当然のごとく、初回は
「いつもステージで歌っているように、歌ってみて」と、
姿勢を重点的に見るわけですが、
みなさん、判で押したように姿勢が悪い。
特に、ギター・ヴォーカルの子の9割(当社比)は、
本当に、びっくりするほど姿勢が悪い。
クビが前に出ている。
背中が丸い。
右肩が前に入っている。
当然深い呼吸はできない。
お腹にも力が入らない。
力の通り道ができていないから、
ノド周りに無駄に力が入る。
高い音を出そうとするとき、上を向く、
または、さらにクビが前に出る。
顔が真っ赤になる。
ノドが枯れやすい・・・etc.etc…
一体全体、どうなってんの?
昨今の若者の根本的な姿勢の悪さはともかく、
ギター&ヴォーカルの多くが、
ヴォーカリストや、ギターリストと比較しても、
びっくりするほど歌う姿勢や、立ち姿がかっこ悪いのには、
なにか理由があるのではないか。
そんな仮説を立てて、
徹底的に歌う姿勢を分析したり、インタビューしたりしたところ、
大事なポイントを2点発見しました。
今日は、『ギター&ヴォーカルは、なぜみんな姿勢が悪いのか?』を
シェアしたいと思います。
さて、ひとつめは、
なんと言っても、日常の練習姿勢がなっていない、ということ。
「ちょっと、家で練習しているときの格好してみて」
そう言って、その姿勢を再現させると、
まぁもう、お母さん、オタクのお子さん、大変なことになっていますわよ。
背中が丸いのは当たり前、
べたーととんび座りしたり、横座りしたり、あぐらをかいたり。
ひどい子は壁を背に、なかば寝転がって、
くの字に曲げたクビを支点にカラダを支えています。
そこに、ギターを抱えるわけですので、
当然、脇の下とお腹でギターを抱え込むように持つことになります。
この段階で右肩が前にぐいっと出ることはご理解いただけると思います。
人間は、カラダをそこまで丸めた状態では深い呼吸はできません。
だから、唯一動かせる、背中の上の方、
または肩周辺で息を吸い込むことになります。
もちろん、十分な量は取り込めません。
さらに、「歌う」という運動を起こすための力点であるべき、
「丹田」がマトモに使えません。
そこで、首回り、多くが首の後ろの筋肉に力を入れて、
歌うことになり、
これが、上を向く、首が前に伸びる、という状態をつくるわけです。
こんな風に毎日毎日歌っているわけですから、
カラダが「歌うってこういう姿勢よね」と覚え込んでしまいます。
いきなりイスに座ろうが、立ち上がろうが、
力のバランスはそう簡単には変わりません。
「歌うってこういう姿勢よね」が染みついていますから、
突然、全然違うフォームで歌うことは、
パフォーマンスが落ちるばかりでなく、不安をともなうからです。
さて、2つめ。
こうした姿勢は、
めちゃくちゃエネルギー効率が悪くて、歌いにくいはず。
洋楽のギター&ヴォーカルには、
こんなに背中が丸まっている人はなかなかいません。
しかし、日本人のギター&ヴォーカルには、とても多い。
その理由は、
根本的にギターというものの持ち方を勘違いしているから。
そもそも、アコースティック・ギターは、
イスに座って、腿の上に乗せて弾くようにつくられています。
座るのはイスです。床じゃないんです。
そして、カーブを右腿に乗せて、ひじあたりを支点にして持つ。
これが可能な、自分のカラダのサイズにあったギターを選ぶのが基本。
そう。「お腹と脇の下」じゃなくって、「腿とひじあたり」なんです。
これを勘違いしたまま、毎日べたっと座って練習して、
いきなり、ストラップをかけて立ち上がると、
お腹にギターが乗るように、カラダを前屈みにするため、
ギターの重みはストラップが横切る背中で支えることになるのです。
こうすれば、「いつものように」
右肩を前に出して、カラダを丸めて、
首を前に出して歌うことが可能になりますね。
あぁ、イケてない。。。
さぁ。ギター&ヴォーカルのみなさん。
いや、そこにいる、ギターリストのあなたも。
自分の胸に手を当てて、ずきんと痛んだら、
まず、自分のライブの画像や映像をみて、
姿勢を徹底的にチェックしてみてください。
さらに、日常の練習を床に座ってやっている人は、
今すぐ、イスを買いに行きましょう!!!
姿勢は、ちょっと見直すだけで、
劇的によくなるものですよ。
今日は長くなっちゃったので、ギター&ヴォーカルのみならず、
ヴォーカリストにとっての理想的な姿勢に関しては、
明後日発行のメルマガno.121でご紹介しようと思います。
発行時間は未定です(^^)
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