本気でやりたいなら、「なんか」やれ。
アーティストやタレント、声優の、
新人育成を担当させていただく機会が多々あります。
事務所やレコード会社の方々が期待しているのは、
歌そのものの上達はもちろん、
日常生活の送り方、
毎日の練習方法、
レコーディングや本番の準備など、
プロとして必要なマインドを育てること。
何ごとも最初が肝心。
お仕事どころか、
レッスンすら初体験の若者たちの教育係は、
実に責任重大で、
毎回身の引き締まる思いで担当しています。
「毎日、なにしてるの?」
若者たちのレッスンは、
初回のこんな質問ではじまります。
起床時間、就寝時間、食事時間、
通学時間やバイトの通勤時間、
勉強や運動に充てている時間、
そして、もちろん、
毎日、どんな風に歌に取り組んでいるのか。
こうした質問をして、
毎回、本気で驚くのが、
「歌を志している」はずなのに、
日常的な練習の習慣を持っている子が、
びっくりするくらい少ないこと。
楽器を志している人には考えられないことでしょう。
歌は、それくらい、
「何をやったらいいかわからない」もののようです。
しかしね。
根本的な「歌いたい」というパッション、
「うまくなりたい」という欲求がなければ、
歌は絶対に上達しません。
「歌いたい」というエネルギーがない人が、
歌で成功するほど、音楽の世界は甘くないし、
いや、少なくとも私はそう信じたいし、
「うまくなりたい」という欲求がない人に、
レッスンをするのは、時間の無駄というもの。
若者たちに、そんなことを、
根気よく伝えていきます。
別に、発声練習をしろと言うのではありません。
本気の子たちは、
自分で方法論を模索しながら、
がむしゃらに前に進んでいきます。
大好きなシンガーのアドリブやフェイク集をつくって、
徹底的にマネをしたという子がいました。
マライヤ・キャリーの難曲を、
何ヶ月もかけて完コピーしたという子がいました。
上達のためにSNSに、
定期的に自分の歌をアップしていた子がいました。
そこまでやれなかったとしても、
歌えない曲を、
毎日音源に合わせて一緒に歌う、でもいい。
カラオケやスタジオに通って、
大きな声で好きな歌を歌いまくる、でもいい。
本気でやりたかったら、
「なんかやる」もんです。
「やる気のエネルギー」は
人から与えられるものではありません。
自分自身の内側から沸き起こるもの。
火をつけて差し上げることはできても、
エネルギーそのものを注入することはできません。
日常が人をつくる。
本気で何かに取り組む心構えがなければ、
人の心を動かす仕事はできません。
そんなメッセージを真摯に受け止め、
自分自身のやる気のエネルギーを呼び覚ませる子だけが、
どんどん上達していくのです。
最後に試されるのは、「本気」と「やる気」なんですね。
11月23日(月・祝)13:00〜 幾多のJ-popアーティストのレッスンを手がけてきたMISUMIによる、初のJ-POPバージョンアップセミナー。『バージョンUP zoomセミナー / J-POP篇』!
関連記事
-
-
意味もわからないまま歌わないっ!
歌詞の意味をわからずに歌うということは、 意味のわからないことばを声高に叫んでい …
-
-
「じっくり聴けない人」の3つの言い訳
歌の上達のポイントは、音源をじっくり聴いて、 そこから可能な限り、たくさんの情報 …
-
-
「自分が嫌い」の爆発的エネルギー
思うように行かないことは、いつだってあります。 自分が望むような方向に人生が流れ …
-
-
バンドのメンバーに歌をけなされたら、真っ先に確認すべきこと。
リハやライブでバンドのメンバーに歌をけなされた、 という悩みを相談されて真っ先に …
-
-
「Fが難しくて弾けない」って理由でギター、やめる〜?
昨日、某大手プロダクションのお偉い方との会話。 M「最近、ギター科 …
-
-
究極の正解を探せ!
カバー曲はいい感じで歌えるのに、 オリジナル曲になると精彩を欠く。 こうしたケー …
-
-
「長期記憶のゴールデンタイム」にあなたは何を記憶しますか?
「受験生といえば、まずは『でる単』」。 『でる単』、すなわち、『試験に出る英単語 …
-
-
歌の上達に大切な3つの力
大好きな曲と出会う。 歌ってみたくて仕方がなくなる。 毎日聴く。何度も聴く。 そ …
-
-
ライブって、本当にすごいんだ。
人にライブの思い出を語るときは、 ついつい、大きなホールで歌った話や、 テレビの …
-
-
成長する人。
成長する人は、心の素直な人が多い。 なんでも無反省に、 他人の言うことを聞けばい …