大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「センス」は左脳から学べ!

   

「なんでそう聞こえるかなぁ?」

プロを目指して修行に励んでいた頃から、
駆け出しのなんちゃってプロ・ミュージシャンだった頃まで、
こんなことばを頻繁に言われました。

「え?もう一回聞いてごらん。なんでわかんないの?」
「君、音痴だね」
「グルーヴ、感じらんないんだなぁ。。」

どのことばも、まるっと「センスないね」と言われているようなもの。
ヘタと言われるより、声が出てないと言われるより、うんと堪えました。

これね。
英語に例えるとわかりやすい。

「発音悪いね」って言われれば、発音の勉強ができます。
「単語知らないね」って言われれば、単語を覚えればいい。

でもね、
聞き取れないことばは、何回聞いても聞き取れないし、
よかれと思って発音してるのに、
「そんな風に聞こえるの?」って言われても返す言葉がないし、
「帰国子女じゃないから、無理だよね」ってまとめられれば、
もう、「ごめんなさい」としか言えない。
そんな感じです。

しかしね。

「センス」は左脳から学べます。

リズムにもグルーヴにも、メロディの奏で方にすら、
ある種の法則があって、
可視化できるし、数値化できる。

カラダをつかって、視覚情報を利用して、
耳のフォーカスを整え、研ぎ澄ましていくことで、
それまで、ただただこぼれ落ちてしまっていた音楽的な情報に、
どんどん気づけるようになる。

カウントを口ずさみながら、何度も何度も音源を聴いたり、
譜面にならないような細かい音を、全部記号化してみたり、
アザになるほどヒザを叩きながら歌ってみたり、
マルチトラック録音を繰り返したり、
チューナーやキーボードをつかったり、
音楽ソフトをつかったりと、

数え切れない実験と実体験を繰り返すことで、
そんな法則を、たくさん発見してきました。

やがて業界で、歌の評判が上がるほどに、
自分自身の方法論に確信を持つに至ったのでした。

「センス」ということばに、翻弄されないことです。

感覚は左脳から学べる。
頭をつかって、科学的にガシガシ切り込んでいけば、
そんじょそこらの「センスのある人」より、
圧倒的に精度の高い歌が歌えるようになる。

信じること。
あきらめないこと。
挑戦し続けること。

最後に勝つのは、カメさんチームなんですのよ。

 

■6日間全12ユニットで、 ヴォーカリストに必要な基礎トレーニングをすべて学べるMTLヴォイス&ヴォーカルトレーニング12。3月開講。

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

  関連記事

「なぜだろう?」の先に、進歩がある。

「なぜだろう?」   楽器も歌もパフォーマンスも、いや、おそらく、どん …

がんばれないのは「ご褒美設定」がうまく行っていないから。

誰だって、がんばってもがんばっても、なんのご褒美のない、 不毛な努力はできないも …

ペダル、踏んじゃだめよ。

小学校4年の時に、友だちの弾くピアノの調べに胸を射貫かれ、親に頼み倒すこと3年あ …

高い声はどうやって出したらいいのか?

「どのくらい高い声を出せるのか?」という議論は、 「どのくらい速く弾けるのか?」 …

「おまえ、リズム悪いな」と言われたら、やるべき3つのこと。

「おまえ、リズム悪いな」 何気なく、 しかし、わりとよく言われるこのことば。 楽 …

分解して聞く。分解して練習する。~Singer’s Tips#27~

「片手ずつ練習しなさい。 右手と左手、一緒に弾いていたら、 間違っていることに気 …

で?なにがやりたいわけ?

高校時代、多重録音というものへのあこがれが高じ、 ラジカセをふたつ向かい合わせに …

クリスマスソング、何曲ちゃんと歌えますか?

Merry Christmas!   クリスマスのうきうき感は、 イル …

「好きになれない課題曲」から徹底的に学ぶ方法

自分が心から感動し、お手本にし、研究した、いい音楽を、後進にシェアしたい。 &n …

1音にこだわる!~Singer’s Tips #6~

歌のトレーニングの基本中の基本であり、 上達のために最も重要なことのひとつは、 …