大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

リズムが悪いと言われたら真っ先にすること。~Singer’s Tips#10~

      2021/04/24

「リズムが悪い」と言われた時、
真っ先に点検すべきは、
点=ビートを捕らえられているかどうか。

ビートは音楽という秩序の中で、
非常に大切な約束事のひとつです。
「点」が合っているかどうかということは、
いわば、基本中の基本。

そういう意味で、
「リズムが悪いね」と言われることは、
「ピッチが悪いね」と言われるのとおなじくらい、
歌い手にとっては、こたえることばなのです。

ビートがずれる。
点を捕らえられていないと感じた時に、
まず疑うべきは、
「ちゃんと聴いているか」です。

多くの歌い手が、
演奏を「オケ」として、何気なく聞いています。

ビート=点を意識できていないから、点がゆるい。
的を決めずに、壁打ちをやっているようなものです。
合わなくて、当たり前なのです。

そこで、オケの聴き方を変えてみる。

オケから、ドラムだけを取り出して聞く。
さらに、ドラムの音のひとつひとつに、
(ハイハット、バスドラ、スネア・・・というように)
バラバラに意識を向けてみる。

これが、まず、できないのです。

ドラムに耳の焦点が合わない。
ビートが聞こえてこない。
なんとなく聞こえてくるけど、何の音かわからない。

これでは、ビートよく歌えるわけがありません。

耳は、今、そこに存在している、
全ての音を集めるようにできています。
つまり、理論的には、
全ての音を聞いているのです。

その中から、聞くべき音は、
脳が選ぶといわれています。

音楽的に言われる「耳が悪い」は、
耳そのものが悪いわけではなく、
聞こうという意識ができていない、ということ。

まずは耳を鍛える。
ちゃんと聴く。
「リズムが悪い」と悩むのはそれからです。

◆一生に一度、集中的に学ぶだけで、”自分で自分に教えること”を可能にするMTL 12。毎週日曜日10時〜Youtubeにて公開中。
毎週月曜発行中!声に関するマニアックな情報やインサイドストーリーをお届けする無料メルマガ『声出していこうっ』。バックナンバーも読めます。

 - B面Blog, Singer's Tips, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 歌を極める, 音楽

  関連記事

「一音」にこだわる

「とりあえず、ラララで歌って。」 歌の練習で、一番最初にするのは、 歌詞も曲想も …

大切なのは声の「大きさ」や「高さ」ではなく、「音色」なんです。

東京アラートは出ていますが、 自粛解除になったということで、 すご〜〜く久々に、 …

「適正」って、「恋すること」なんだ。

「私は、ロックが好きなんですけど、 歌の先生に、キミにはそういう音楽は向いてない …

no image
「つもり」はあくまでも「つもり」

ボーカリストがカバー曲を練習するときに大切なこと。 1.オリジナルをよく聞いて、 …

マスクは「声」をダメにする!?

先日、新宿駅を歩いていたときのこと。 背後でおしゃべりしている若い女性たちの声を …

歌をはじめる黄金期?

歌をはじめるのに、 早すぎることも、遅すぎることもない。 これは私の持論でありま …

「なめたらあかんぜよ」

先日、勢いでiPhoneを10から15にしたおかげで、今までiPhoneを繋げる …

ゆっくりやってもできないことは、速くやったらなおさらできない。

「速くて難しい曲」、どうやって練習していますか?   学生などの練習で …

「いいね」が消えた日。

他人の評価なんか気にするな。 自分で自分をどう思うかが大切なんだ。 数字のゲーム …

「誉めて!かまって!」症候群

誰かにかまわれたい、 誉められたい、 認められたいという欲求は、 人間である以上 …