人は、人を「育てる」ことはできない。
レッスンを担当しているシンガーたちが、
ぐんぐん成長していく姿を見るのは、誰だって嬉しいものです。
有名無名を問わず、
その人が活躍の舞台を拡げたり、
ドキッとするような素晴らしいパフォーマンスを見せてくれれば、
我が子の活躍のように嬉しくなるし、
時には、思いっきり自慢したくなる気持ちにだって、
なろうというものです。
ものを教える仕事をしている人間にとって、
教え子たちの活躍や成長こそが、
自分自身の価値のバロメーターであり、
他者からの評価の決め手でもありますから、
まぁ、ちょっとくらい、いやらしい気持ちが出ることだって、あってもいい。
それが人間というものです。
その点では、
「うちのこ、有名大学卒業しましてね」って、
つい自慢してしまいたくなる親御さんと、
きっと同じような気持ちなのではないかと推察します。
しかしね。
人は、人を育てることはできない。
常に、そう、自分に言いきかせています。
人は自分で育つもの。
誰もが、成長するエネルギーを 内包している。
どれだけ肥沃な土地に植えつけても、
どれだけ太陽や、水や、肥料を与えても、
種子自身の持っている生命力を越えて、
植物を育てることはできないんです。
どんな可能性も、
どんな成長も、
その人の内側に、最初からちゃんとある。
そんな基本的なことを忘れて、
生徒たちの成長を、あたかも自分の手柄のような顔をして、
「大先生」になって、ふんぞり返っちゃいかん。
それでは、自分の本分どころか、
自分自身の成長の機会さえ失ってしまいます。
謙虚に、大胆に。
自らに与えられた生命力の限り、成長しつづける。
本分を生き尽くす。
そんな人生の課題は、どんな仕事をしていても、
どんな立場にいても、
たとえ何才だって、1ミリも変わらない。
一生、修行です。
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