大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「情報過多」なのではなく、「思考過多」。

   

毎日、ものすごい量の情報にさらされています。

朝、PCを立ち上げ、webを開いた瞬間から、
携帯の電源を入れた瞬間から、
ポストを開けた瞬間、
家から一歩足を踏み出したその瞬間から。

新聞、テレビ、ラジオから、
出会う人、すれ違う人、乗り合わせた電車の広告、
街で目にする看板やポスター、
コンビニや本屋、さまざまな店の店先にならぶ商品から。

有益なものから有害なもの、
重要なことから、どうでもいいこと、
まさに求めていたものから、知りたくなかったもの・・・

ものすごい量の情報が、日々自分の中を、通過ゆきます。

こうした、情報社会に拒否反応を示し、
意識的に遠ざかる人もたくさんいます。

しかし、そこはやはり、1人でも多くの人に自分自身や、その作品、
パフォーマンスを知って欲しいと思う表現者、クリエイター。

マイナス面を差し引いても、
あまりある恩恵を手に入れられるものである以上、
大事につきあっていく方法を学ぶことが必要です。

問題なのは、情報の量や種類ではない。

情報は、あくまでも情報であって、
なんの感情も持たなければ、心に引っかかることもなく、
ただ目の前を通過していくだけです。

通過していく情報にどんな感情を乗せるかは、受け手次第なのです。

痛ましい事故や事件のニュースに感情を揺さぶられて、
怒ったり、哀しんだりするのも、

恐ろしい災害のニュースに同調して、
恐怖や不安にかられるのも、

裕福そうな成功者や幸せそうな若者を見て、
妬ましい気持ちや憂鬱を覚えるのも、

すべて、自分が選び取っている感情。

そうした感情にともない、さまざまな思考が働き出すことで、
毎日の生活が多忙で、煩雑なものになっています。

つまり、情報過多なのではなく、思考過多なのです。

垂れ流されるゴミのような情報に、いちいち一喜一憂していては、
1日は何十時間あっても足りません。

まして、聴きたくもない話に気持ちを揺さぶられたり、
知るほどに不愉快になるような話をどんどん追いかけたり、
どうでもいい議論に巻き込まれて消耗したり・・・
すべて、「単なる情報」に過剰反応することによる、
思考過多の弊害。

必要なときに、必要な情報を取り出し、
その中から最も、有益なものを選び出すことも大切な技術なら、

不要な情報に対して、思考や感情をブロックし、
自らは無反応なまま、目の前を通過させていくことも、
また重要な技術であり、知恵。

時に難しいことではあるけれど、
それこそが、情報社会をタフに、ハッピーに渡ってゆく
秘訣なのではないでしょうか。

19350257_s

 - Life

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

ワードを変えれば、自分が変わる

有名な心理学の実験で、 「スタンフォード監獄実験」というのがあります。 ごく普通 …

もっとオモシロく教えてください。

大学時代、出席していた授業の9割は、 わからないというのじゃなく、つまらない。 …

「やらない」技術!

先々週の日曜日から、半月足らず。 あまりにもめまぐるしくて、思ったように動画編集 …

「あと一周」のベルが、まだ聞こえない。

出版に向けラストスパートに入りました。 え?まだスパートかけるの?という街の声が …

「すごい人」と、自分との距離。

どんな分野にも、すごい人というのはいるものです。 すごい人に出会う度に、自分の凡 …

声の温度。歌の肌触り。音の匂い。

ボタンひとつで音色を自在に変えられる、 いわゆるデジタル・シンセサイザーが登場し …

空白の美学

「アマチュアはね〜、ソロ弾いてっていうと、 全部音で埋めちゃうんですよ。 弾かな …

人生の値段、おいくらですか?

おとなになってから、自己投資をいくらしたかが、その人の価値を決める。 そんなこと …

何才までロックします?

「外タレのチケットの値段をつり上げているのは、 ストーンズとポール・マッカートニ …

「あれが人生のピークだったって思いたくないんだ」

とある著名なヴォーカリストと共演させてもらった時のこと。 圧巻のパフォーマンスと …