キャリアの棚卸し中。
学生時代にアルバイトをしていた本の取り次ぎ店では、年に1度、棚卸しという日がありました。
商品を扱うお仕事をしたことのある人ならわかると思うのだけど、棚卸しってのは、お店中にある在庫商品をすべて数えて数値化すること。会社の資産価値などを算出するためにやります。
狭いながらも4階建てくらいだった本の取り次ぎ店でしたから、商品の種類がハンパじゃありません。
社員の人たちは、「あーあ、また棚卸しの時期が来たか」とだるそうでしたが、私はこの作業が、楽しくてたまりませんでした。
そもそも、本の背表紙を眺めるのが楽しくて何年もやってたバイトです。
棚の端から端まで、誰にも邪魔されることなく、本のタイトルを黙々とメモする。
時には、本を手に取って、パラパラとめくったりもする。
1冊1冊の本に、創り手の魂が宿っていて、それが、本という形になって、この店まで運ばれて、このお店の誰かがそれを並べて。。
そんな見えないドラマに妙にワクワクをかき立てられたものです。
さて。
わけあって、自分自身の実績の棚卸しに取り組んでいます。
2009年に出版を志した時以来、なんと15年ぶり。
そうでなくても、シンガー、作詞家、ヴォイストレーナー、起業家、著者と、あれこれやってきてるのに加え、まぁまぁのキャリアの長さなもんで、もう大変なことになっております。
中でも、スケジュール帳やら、カルテのアーカイブやらをたよりに、レッスン記録を掘り返していると、もう、びっくりするくらい、さまざまな記憶が蘇ります。
そうそう、こんなお仕事した。
あ〜、こんな子、いたいた。
ヴォイトレを担当したアーティスト、育成アーティストは、グループレッスンや、ワークショップなど含めると200名弱。
誰もが知る有名人から、地道にがんばっている人、もう業界を離れてしまった人。
手帳にひっそり書かれた名前には、それぞれの顔と声がある。いろんな事情がある。
晴れ舞台で必死に歌う彼らを見て涙したこととか、力不足で悔しい思いをしたこととか、いろんな思いが蘇って、こんな業界のど真ん中でお仕事させてもらってきたことに感謝したり、まだまだできることはあると、志を新たにしたり。
キャリアの棚卸し、厳密にやるほどに、発見も学びも多いもの。
ぜひやってみて。
関連記事
-
そんなとき、 人はロックを聴きたくなるのではないか?
最近、妙にロックが聴きたくなります。 日々の息詰まるような閉塞感。 やり場のない …
-
ティーンエイジャーという名の憂鬱
プライベートレッスンでは、事務所さんやレコード会社さんから、活躍中のアーティスト …
-
「もっと遊べ!」という謎のワード
「MISUMIちゃんは、もっと遊ばなくっちゃ。」 来る日も来る日も歌のことばかり …
-
「ありのまま」ということばを免罪符にしない。
作品でも、パフォーマンスでも、 作り込むより、パッションが大事とか、 ありのまま …
-
「好きなことやれよ」
「好きなことやれよ。 好きなことのない人生なんて、つまんねーぞ。」 私の人生にも …
-
旅に出よう!
「外国語を知らない者は自分自身の言語について何も知らない。」 と言ったのは文豪ゲ …
-
「まだまだ」と心が騒ぐから・・・
今年も残すところ、後4日。 この時期、大掃除や片付けをしながら、 1年を振り返る …
-
雑草には雑草の生き方があるんでござんす。
芸歴30周年、40周年なんてお祝いをしている人たちが周囲に増えてきて、 ふと自分 …
-
その心ないことば、目の前の本人に直接言えますか?
どんな作品にも、どんなアーティストや活動にも、 批判的な意見やネガティブな気持ち …
-
は?この手がなにか?
昔からよく、「手」のことをいじられます。 フリーター時代、バイト先の店長に、「歯 …
- PREV
- プロフェッショナルの歌は、「リズム」が違う!
- NEXT
- ペダル、踏んじゃだめよ。