ペダル、踏んじゃだめよ。
小学校4年の時に、友だちの弾くピアノの調べに胸を射貫かれ、親に頼み倒すこと3年あまり。
なんとかピアノを買ってもらったのは中学1年の夏休みのことです。
それまで家にあった電子オルガンは、それはそれはイカさない音でしたから、
我が家にやってきたピアノを初めて弾いた瞬間は、本当に胸が震えました。
ピアノには、なんといってもペダルがある!
ペダルを踏みながらピアノを弾くと、どんな曲もすんばらしく聞こえて、なんだか、自分がめちゃくちゃうまい気がしたものです。
ところが、です。
「ペダル、踏んじゃダメよ!」
得意げにペダルを踏みながら弾いていると、先生はいつもそう言うのです。
(だって、ペダル踏まなかったら、気持ちよくないじゃん。。。)
そう言いたげな私の気配を察して、先生はこう言います。
「ペダル踏むと、うまく弾けてる気がするでしょ?でもね、ペダルなんか踏まなくても、素敵に弾けるようにならなくちゃ、うまくならないのよ。」
そんな風に言われるたび、ペダルを踏んじゃいけないなんて…すっごい味気ない音になっちゃうじゃんと、どうにも納得できなかったものです。
ピアノのペダルは、カラオケのエコーとおんなじ。
わぁ〜んという豊かな響きが、私たちを「弾けてる気分」「歌えてる気分」にしてくれる。
酔っぱらった時さながら、繊細な感覚をテキトーに麻痺させてくれる。
お風呂で歌う時とおんなじ。
気分よく歌いたいんだから、それでいいじゃん。なんですよ。
ただね、上達したいなら、話は別。
ホントに素敵な演奏はペダルなんかなくたって成立する。
ホントに素敵な歌はエコーなんかかけなくたって素敵なもの。
細部まできっちり神経を行き渡らせて歌うから、よき歌になる。
繊細なパフォーマンスになる。
そこにペダルや、エコーの心地よい共鳴サウンドが入った時が無敵です。
今でもピアノ弾く時は、ペダルはマストアイテムの私。
だって、気持ちよく弾きたいからいいんだもん。
うまくならなくたって、いいも〜ん。
よい子はマネしないでね。
メルマガではリズムの話を何回かに分けて配信中。
ご購読はこちらから。もちろん、無料。バックナンバーも読めます。
ご登録いただいた方には、『朝から気持ちい声を出すためのモーニングルーティン10』をプレゼントしています。
関連記事
-
-
ルーティンワークで「微差」をつかまえる。
鰻屋を営んでいた母方の祖父は、 生前、お昼ごはんに、 毎日お店の鰻重を食べていた …
-
-
大事なのは「生きて行きやすいように自分を変える」ことだろうか?
高校1年の初夏のこと。 女子高の同級生たちと、 生まれて初めて「バンドを組もう! …
-
-
「出会い」を求めるなら、手間暇お金を惜しまない!
「僕、どんなの聴いたらいいんでしょう?」 学生から、時々、こんな謎の質問を受けま …
-
-
「彼の演奏は完璧だ。だけど、彼の演奏はEmpty(空っぽ)なんだ。」
「この歌手は”お上手”過ぎて、面白くもなんともねーな。」 …
-
-
“なんちゃってコピー”は、いい加減卒業する。
賛否両論あると知りながら、 ここでたびたび完コピについて取り上げるのは、 今も昔 …
-
-
80sを語ったっていいと思う
少し前、学生に「最近どんなの聞いてるの?」と質問したら、 「僕、結構古い音楽が好 …
-
-
「切り替え」と「集中」で精度を上げる!
インプットとアウトプットを、 高い精度で両方一度にこなせるという人は 一体どのく …
-
-
ちゃんと「聴く」!
さて、音源を買ったら、次にすることは当然「聴く」。 この「聴く」が …
-
-
「私、脱いだらすごいんです!」
「もっと自信を持たなくちゃ」 そう思っても、なかなか自信が持てないのが人間。 自 …
-
-
高い声は、がんばらずに出す。~SInger’s Tips #17~
「高い声は、がんばらないと出ない」と、 思っている人がいます。 なぜそうなっちゃ …
- PREV
- キャリアの棚卸し中。
- NEXT
- 退化か?最適化か?顔筋がなくなる日。