練習場所が欲しい!
最近の高校生は、学校でバンド練習とかするのでしょうか。
高校時代、授業が終わると、
教室の机をバババと後ろに寄せて、
ドラムセットを組んだり、アンプをセッティングしたりして、やったもんです。
バンド練習。
なにしろ学校にほど近い秋葉原の貸しスタジオは、
高校生のお小遣いでは、週一借りるのがせいぜいでしたから、
とにかく毎日でも音を出したかった私たちにとって、
教室は恰好の練習場所でした。
結構うるさい学校だったのに、
よくぞ許してくれたものだと、
今さらながら、感謝の念が湧いております。
あたしのギターは言うにおよばず、みんなへたくそだったし、
ヴォーカルアンプやマイクはなかったから、歌は生だったし、
要は、「なんか、あたしたちバンドがんばってるよね」
というのを確認する時間みたいなものでしたが、
それでも、毎日のように放課後になると、
メンバーで集まって音を出すってのは、
それだけで本当に楽しかったものです。
そういえば大学時代は、
あちこちの大学に歌いに行っていましたが、
みんな、教室で練習していたなぁ。
某有名女子高校の友人は、
「うちの学校にはバンド練習用のスタジオがあるの」と言っていたけど、
そんな恵まれた環境の学校に通う人たちは、ホントに一握りでしょう。
そんな話を、ギターの故・末原康志さんに言ったら、
「俺たちの時代は、学校でバンド練習やるなんてあり得なかったよ。
バンドやってるってだけでもうるさかったんだから。
みんなでリヤカーに機材積んで、近くのビルの屋上借りて練習したもんだよ」
と言っていたっけ。
そういえば、うちのジェフ夫さんも、こんな話をしていました。
「お寺に頼み込んで本堂で練習させてもらったりとか、
神社の息子がいたんで、その神社の境内でやったりとか、
倉庫の2階だったこともあるし、俺の部屋でやったこともあるし。。
決まった場所はないからジプシーみたいなもんだったな。」
貸しスタジオで練習できるなんて、贅沢中の贅沢なんですよね。
ちなみに、カラオケボックスなんてものもないので、
歌の練習をするのも、家か学校。
後は公園のようなアウトドアとか、車の中。
そうやって思うと、
どんな街にも貸しスタジオがあって、カラオケボックスがある現代は、
音楽愛好家にとって、実に恵まれた時代と言えます。
歌や楽器の上達のために必要なことはなんですか?
と聞かれたら、真っ先に「練習場所」と応えます。
ギターやキーボードのように、
ヘッドフォンをかぶればどこででも練習できる楽器はともかく、
ヴォーカルやドラム、管楽器などなど、生楽器は練習場所を選びます。
まわりに気を使って歌っていると、
変な息漏れの癖をつけてしまったり、
音域を広げる、声量を育てる、音色の研究をするなど、
思い切った練習ができません。
ほとんどの人にとって、
思い切り音が出せる場所を確保するというのは、
けして容易なことではないでしょう。
この高いハードルをクリアすると、上達がぐっと近づきます。
とはいえ、
家にスタジオを持っていたり、
24時間好きな時間に音を出せる防音室がある人が、
日夜練習に励むわけではないというのは、先日のブログの通り。
むしろ、「今日の○時〜○時しか練習できない」くらい、
制限がある方が集中してできて、
練習のクオリティが上がるというのは、人間のさがか。
あなたには、練習に集中できる場所がありますか?

■無料メルマガ『声出していこうっ』。プライベートなお話からマニアックなお話まで、ポップな感じで綴っていきます!(ほぼ)毎週月曜発行!バックナンバーも読めますよ。
関連記事
-
-
理解できない相手がクソなのか、させられない自分がダメなのか。
誰にも歌を認めてもらえず、 今日辞めようか、 明日ちゃんとした就職先を探そうかと …
-
-
「まったくおなじ音」は2度と出せない?~SInger’s Tips #19~
長年歌をやっていて、 もっとも難しいと感じることにひとつに、 「おなじ音をおなじ …
-
-
自己表現のための”自分アバター化作戦”
かつて、ハワイ出身の日系アメリカ人女性シンガーに、 英詞の提供をしたことがありま …
-
-
ギターの「早弾き」 vs. ボーカルの「高い音」
ボイトレというと、高い音ばかり練習している人がいます。 実際に、スクールなどでも …
-
-
ちゃんと元取れっ!
けして質素なタイプというわけではありませんが、ことコスパに関しては誰より厳しいと …
-
-
プロフェッショナルの歌は、「リズム」が違う!
プロフェッショナルと、一般の人の歌の、何が違うと言われたら、筆頭にあげるのは、間 …
-
-
「どう記録するか」より、「どう記憶するか」
スマホの時代になって間もなくのこと。 こちらが、それはもう夢中で、 なかなかいい …
-
-
ちゃんと「聴く」!
さて、音源を買ったら、次にすることは当然「聴く」。 この「聴く」が …
-
-
情報の価値を最大化するための5つのヒント
おなじ曲を聴いているはずなのに、 聞き手によって、耳に入ってくる情報はまるで違い …
-
-
「大きい音」を扱うのって、テクニックがいることなんですぞ。
「ラウドな音楽をやっている」と言うと、 デリカシーのない、 雑な演奏をしていると …
- PREV
- なんにも終わってないのに、終わった気持ちにならない。
- NEXT
- ヴォイストレーナーという仕事
