大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「練習が嫌いなんじゃない。「練習をはじめること」が嫌いなんだ。

   

以前、プロで活躍していたという元スポーツ選手と話していて、
「今でも、毎朝、ジョギングからはじまる一連のトレーニングは欠かしたことがないです」
と言うので、
「やっぱりスポーツ選手になる人っていうのは、
カラダを動かすのが好きなんだよね」と言ったら、

「いやいや。練習なんか、嫌いです。
トレーニング好きなやつなんか、いないっす」と言っていて、
あぁ、みんな一緒なんだな、と思わずホッとしました。

練習しなくちゃ、と思う時くらい気が重くなることはありません。
曲覚えなくちゃ、歌詞覚えなくちゃ、声出ししなくちゃ、
と言うときの、「やらなくちゃ感」がたまらんのです。

そもそも、よっしゃと、リビングを離れて、
音楽室にこもるということだけで、ものすごいエネルギーがいります。
いや、そこが、一番しんどい。

練習って、はじめるまでが、一番大変なんですね。

そういえば、シゴタノ/大橋悦夫さんも、
『毎朝ジョギングしてますけど・・・」と言いながら、
「毎朝、雨降ってればいいな、って思うんですよ。
でも、晴れてるんですよね。
朝起きて、ダイニングの椅子に座っちゃうと行くの嫌になっちゃうから、
自分の椅子の上にトレーニングウェア置いてあるんです。
それを着なくちゃ椅子に座れないから、仕方なく着る。
トレーニングウェア着て椅子に座るのも変だから、
とりあえず外に出る。
走り始めると、最後まで、走りたくなるんですよね。
なんでも、しくみです。」
と言っていたっけ。

そう。
はじめるとね、あっという間に時間が経ちます。
気づけば予定時間はとっくに過ぎて、
ああ、もう1時間くらい練習したい、とか、
仕事行かないで歌ってたい…となるのはいつだって同じ。

私たちが嫌いなのは、
練習そのものじゃなくって、
練習をはじめること、なんですよね。

「はじめる」という、
大きな関門を越えさえすれば、
最後までやりきれる。

好きなことって、そういうものなんですよね。

ちなみに私は、練習やトレーニングのように、
はじめるのに、ものすごくエネルギーの要ることは、
朝起き抜けにやることにしています。

起きるなり、ヨガ。
起きるなり、音楽室に入る。
ちょっと気合のいる仕事も、みんな起き抜けです。

雑念が起きる余地なく自動的にカラダが動くタイミングというのが肝です。

あなたには、「はじめるのが嫌い」なことはありますか?

■無料メルマガ『声出していこうっ』。プライベートなお話からマニアックなお話まで、ポップな感じで綴っていきます!(ほぼ)毎週月曜発行!バックナンバーも読めますよ。

 - Life, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

  関連記事

酒とタバコと断崖絶壁

学生時代からバンドをやって、 学祭やライブなどで歌ったり、演奏したりしていた、 …

「まだまだ」と心が騒ぐから・・・

今年も残すところ、後4日。 この時期、大掃除や片付けをしながら、 1年を振り返る …

音楽をどうやって聴くか?

言いたかないけど、レコードの時代に音楽に目覚めた私。 その後、さまざまな音楽メデ …

200個の骨。600の筋肉。

人間のカラダには、およそ200個の骨があると言われています。 その上に乗っている …

「最高の一瞬」を刻むのだ!

人と時間ってのは不思議なもので、 好ましい現時点から、それが終わりとなる未来のあ …

その心ないことば、目の前の本人に直接言えますか?

どんな作品にも、どんなアーティストや活動にも、 批判的な意見やネガティブな気持ち …

思い込みと勘違いで他人に意見するのは一種の迷惑行為。

何年か前、知り合いの女性ヴォーカリストに、 「私、衣装は全部ネットで買っているわ …

「ツボ」をはずした練習は、単なる自己満足であり、時間の無駄。

実は私、とっても足が遅いのです。   いきなり、しかもB面で何を言い出 …

ノドをウィルスから守るためできる10のこと

東京の冬場の平均湿度は40~50% 。 そこまで低い数字と感じないかもしれません …

文化は「オタク」と「変態」、そして「ドM」がつくる

忙しがる人は好きじゃないのですが、 最近、自分もそんな、自分が好きじゃない類の人 …