大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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「変わってる」って、なんだよ?

      2019/12/29

自分は何に、どんなことに、反応する体質なのか。
自分のアンテナは何に反応し、どんな情報を拾い上げるのか。

世間的に評価されているとか、いないとか、
知らないと恥ずかしいとか、
誰だって好きなはずだから嫌いって言えないとか、

そういう「一般」というフィルターを全部取っ払って、
自分自身の情報センサーと向き合うべきではないのか。

これは、音楽家だからとか、
アーティストだからとかいうことではなく、
一人間として、
誰もが1度向き合うべきテーマと考えています。

 

こどもの頃は、みんなが夢中になっていることに、
ぜんぜん興味を持てない自分に悩んでいました。

アイドルや人気俳優に全く興味を持てないのは、
自分が未熟である証拠な気がしました。

友だちみんなが夢中になっているテレビに興味を持てないことで、
みんなの会話に入れないことも寂しく感じました。

正直、友だちがきゃーきゃー騒いでいることに、
興味のあるふりをして、仲間はずれにならないように、
振る舞っていたことさえあります。

それでも、ばれますね。
だって、どうやって騒げばいいのか、わからないんです。

ビートルズに夢中になっていた頃、
ある女友だちが、こう言いました。

「あたし、ジョージの恋人になれたら死んでもいいわ〜。」

その瞬間、
彼女と私がビートルズに夢中になっている意味は、
全然違うのだということに気づいたんです。

だって、その頃私が毎日のように日記に書いていたのは、
「私もビートルズになる!」であって、
(それもだいぶイカれてますが)
「ジョンと結婚したい!」じゃなかったからです。

日曜洋画劇場の『小さな恋のメロディ』見て、ときめいたのは、
マーク・レスターかわいいっ!でも、
トレイシー・ハイドみたいになりたい!でもない。
イギリスの学校に通って、
ジャック・ワイルドみたいになりたいって本気で夢見たからでした。

そんなことを言った日にゃ、
女子校の友人たちは、口をそろえて、
「MISUMIって変わってる」と言ったもの。

平均的な思考を持っていないことで、
なんだか悪目立ちしている感のある自分が、
どうにも居心地悪く感じたりしました。

ある時期から、
「私は人と違うんだ」と開き直ることができましたが、

音楽業界で仕事をはじめてからも、
「変わっている」ということで、
いじめにあったり、
馬鹿にされたりしたことも多々ありました。

なんでそんなことも知らないんだ?
そこに興味ないの、おかしいだろ?
コーラスらしくない。
ミュージシャンぽくない。
ガキっぽい。。。。

まだ中指の立て方もよく知らない、
イケてない時代のことです。

 

「個」は、みな違うんだ。
そんなことが認められるはずの現代になっても、時々、
「そんなことも知らないの?」攻撃にあうことがあって、
その度に、居心地の悪い、そして、嫌な気持ちになります。

しかしね。
もう、この年になって、今さら仕方ないですわ。

 

だから、これからはもう、胸を張って言ってしまいたい。

私のアンテナは全然違うところに向いているから、
あなたとは違う情報がたくさん流れ込んでくる。

あなたがあなたの持っている情報に価値を感じるように、
私は私の持っている情報に絶大な価値を感じているんですよ。

私のアンテナは特殊かもしれないけど、だからこそ、
他の人のアンテナでは拾えない情報が引っかかってくるんですよ。

「知らない」「興味を持てない」ということを恥じることを、
もうやめてもいいよね?

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