ほんっとに「一期一会」
一期一会。
若かりし頃はあまりピンとこないことばでしたが、
年を重ね、世界を巡り、
さまざまな出会いと別れを繰り返して、
ほんっとに身に染みるようになりました。
「また会える」と思うんですよね。
人生がまだまだ続くと信じている頃は。
訪れて気に入った場所に「また来よう」と思う。
けど、ほとんどがそれっきり。
日本に住む誰かなら、
ちょっと勇気を出せばどこかで再会を果たせるかも知れない。
しかし、海外で出会った人たちに再会するのは、
途絶えることなく連絡を取り合っているか、
よほどの幸運に恵まれるか、
猛烈なエネルギーを使わなければ無理です。
仕事の現場でも同じです。
音楽業界のお仕事は、
「はじめまして」の連続です。
スタジオも、サポートも、セッションも、ライブも、
メンバーも違えばスタッフも違う。
ライブやコンサートなら、
もちろん来てくれるお客さんも違います。
恒例のツアーやイベントが終わって、
「また来年ね」と気楽に別れて、
それっきり会っていない人がどれだけいるか。
人や仕事を大切にするって、
たとえそのときが最後となっても、
悔いを残さないように、
心を尽くして語り、
心を尽くして仕事をする、
それ以外にないのです。
コロナの影響で、
いきなり中止になってしまったイベントや
いきなり打ち切りになってしまった育成のお仕事がありました。
「まだまだこれからよ!みんな、がんばって練習するのよ!」
と、がっつりハッパをかけて、
「じゃ、また再来週ね。」と別れた若者たち。
中には、2年、3年とレッスンを見てきた、
ティーンエイジャーたちもいました。
「お休み」でも「延期」でもなく、
「おしまい」です。
エンタメ業界全体がどれだけ大変な状況かを考えれば、
致し方ないこととはいえ、
スタッフさんたちも、
本当に苦渋の選択だったこと、想像に難くありません。
あのとき私は、
彼らと、彼女たちと、どんな顔で別れたか。
彼女たちひとりひとりに、
私はどんなことばをかけたのだったか。
私が伝えてきたことは、
どんな風に彼らの胸に残るのだろうか。
いつかどこかで再会することがあっても、
それは、すっかり成長した、別の彼たち。彼女たち。
二度と共有できない時間を思うほどに、
一期一会の大切さを心に、
カラダに刻みつけ、
日々精進を重ねようと誓うのです。
みんな、元気でがんばるんだよ〜〜。
◆【ヴォイトレマガジン『声出していこうっ!me.』】
ほぼ週1回、ブログ記事から、1歩進んだディープな話題をお届けしているメルマガです。無料登録はこちらから。バックナンバーも読めます。
関連記事
-
-
群れない
まわりにいる人を見ると、その人のことが分かると言います。 同じような空気感の、 …
-
-
自分自身であり続けること。 受け取るままに表現すること。
曲や歌詞、文章はもちろん、 トレーニングメソッドも、セミナーなどのアイディアも、 …
-
-
きっと、低気圧のせい
昨日から今日の夕方にかけて、 とにもかくにも引き込まれるように眠くて、 仕事がは …
-
-
「なめたらあかんぜよ」
先日、勢いでiPhoneを10から15にしたおかげで、今までiPhoneを繋げる …
-
-
変化は必然。
業界のお仕事が長いせいか、 はたまた海外生活を経験したせいなのか、 変化に対する …
-
-
カラダを楽器に「最適化」する。
「タマゴが手の中にあるように、 そーっと鍵盤の上に指を乗せるのよ。」 中学になっ …
-
-
安定させる!~Singer’s Tips#30~
高いところに行くと、やたら声が大きくなる。 低いところに来ると、こもってしまう。 …
-
-
「レコーディングセッション」という真剣勝負。
お仕事日記です。 トレーナーを志したその時から、自分自身がどんなプロセスで上達し …
-
-
がんばり方は教えられません。
何年か前のこと。 レッスンにやってきた学生があきらかに練習した形跡がないので、 …
-
-
憎っくき「容姿端麗組」に負けない方法
認めたくはないですが、 こんなこと書くのもちょっぴり悔しいですが、 ハッキリ言っ …
- PREV
- 「ウソ」と「おしゃれ」と「身だしなみ」
- NEXT
- 「ストリートミュージシャン」というお仕事

