大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

成長に痛みが伴うのは、 本気度を試されているから。

   

高校1年の夏だったと記憶しています。
手足が痛くて、眠れない夜が続きました。

筋肉痛とも、風邪の前兆とも思えたその痛みを、
「それは成長痛だね」と教えてくれたのは、
父だったか。誰か他のおとなだったか。

夏休み明けに、学校に戻って、
朝礼で整列してみたら、
いきなり10人くらい後ろに並ぶように言われて、
驚いたものです。

成長痛と言われたその痛みは、
「ああ、身長が伸びている」と実感できるような、
喜ばしいものでは1ミリもなく。

ただ、苦痛で、不安で、
解放されたくてたまりませんでした。

今、まさに成長しようとしている、その時に、
自らの成長を実感して、
その痛みをありがたがれる人なんて、いるでしょうか?

自分はこれで、本当に正しい方向に向かっているのか?
自分はちゃんと、みんなと同じように成長できているのか?

痛みを感じる瞬間には、
苦痛と、不安しかありません。

しかもね。

成長曲線は、体重の増減グラフと違い、
「毎日500グラムずつ減る(増える)」というような、
単純な線を描きません。

水が、器を満たすまで、こぼれ出さないように、
あるところまでは、ずーっと変化しない。

そして、おそらく、
目に見えない、数字にならない時の痛みが、一番強い。

だからどんどん不安になる。
自信もどんどん失われる。

それで、目に見える成長が起きる前にやめてしまう。
そこから離れてしまうのです。

こんなにもったいないことはありません。

後1日苦痛に耐えれば、
ずどんと成長したかもしれないのに、
その手前でやめてしまえば、「痛かった損」です。

成長に痛みが伴うのは、
本気度を試されているから。

強い痛み、苦痛を感じるほどに、
自分はポテンシャルが高いから、
大きな試練を与えられ、
本気を試されているのだと、
笑ってやり過ごせるようになれば、
まぁ、大物なんでしょう。

なかなかそうはいかないから、
私たちは今日も騙し騙し、
自分を叱ったり、慰めたり、勇気づけたりしながら、
成長痛と向き合っていくんですね。

いてて・・・・。

◆一生に一度、集中的に学ぶだけで、”自分で自分に教えること”を可能にするMTL 12。毎週日曜日10時〜Youtubeにて公開中。
毎週月曜発行中!声に関するマニアックな情報やインサイドストーリーをお届けする無料メルマガ『声出していこうっ』。バックナンバーも読めます。

 - B面Blog, Life, 夢を叶える , ,

  関連記事

学習や休養のためのスケジュールを優先的にブロックする

仕事が忙しくなって自由な時間がなくなってくると、 自分が本来取り組みたかったはず …

自分を好きになる10の方法

自己評価が低いと、なにをやっても心底楽しめないばかりか、 行動の精度もあがらない …

分解して聞く。分解して練習する。~Singer’s Tips#27~

「片手ずつ練習しなさい。 右手と左手、一緒に弾いていたら、 間違っていることに気 …

走りながら学ぶ。

情報がなかった時代でも、 情報があふれている時代でも、 本物の情報のパーセンテー …

声を伝えるのに必要なのは「デリカシー」。「気合い」じゃないんですよ。

音の波形ってみたことありますか? 音は空気の振動。 特殊な装置をつかうと、 その …

人は「エネルギー」なのだ。

昨日、70日ぶりに、 レッスン室にクライアントさんをお招きしました。 10週間。 …

テクノロジーってどうやねん?

PCを使いこなせないと、人との情報のやり取りが非常に難しい時代になってきました。 …

カラダを粗末に扱わない。

カラダは神様がくれる、生涯たったひとつの大切な宝物。 大切につかえば、ちゃんとこ …

「初めて」が「自分の基準」になる!

オーディションなどの審査をするとき、 最初に出てきたパフォーマーが、まずは採点の …

心臓バクバクすることをやってみる。

手慣れたことばかりを繰り返す、 変化のない人生を送っていると、 人間の脳はどんど …