大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

テクノロジーから逃げない

   

機械音痴だというつもりはありませんが、
性格的に緻密なことが無理なようで、
 
というか、チェック機構がエメンタールチーズなみに穴だらけなもので、
定期的にいろいろやらかしては、みなさんにご迷惑をかけます。

 

 

ありがたいことに、これまで、
いつも近くに機械、機材に詳しい人がいて、
手取り足取り、何かと教えてもらって生きて来ました。

 

生まれて初めて、ステレオをいじる許可をもらったのは、
確か中学1年の時。

造園設計をやっていた叔父が実に丁寧な図を描いて、
根気よくつかいかたを教えてくれました。
 

当時はレコードでしたから、
レコードの拭き方から、針の扱い方、アンプの設定まで、
はじめのうちは、叔父の描いてくれたインストラクションを片手に、
緊張しながら機械をいじったものです。

 
生まれて初めてPAというものを触ったときは、
当時のボーイフレンドくんがつきっきりで教えてくれました。
 

「アンプのinputとデッキのoutput、
アンプのoutputとデッキのinputをつなぐんだ」
 

あたり前のようにできるようになった今でも、
アンプとデッキをつなげるときは、
そのことばを頭の中でリピートしながら取り組みます。

 

マルチ録音機器について、
丁寧に、これまた図解しながら教えてくれた人がいて、

シーケンサーの扱い方や、
簡易的な打ち込み法を指南してくれた人がいて・・・

 

やがて機材はPCオンリー、という時代がやってきて、
今度はLOGICを、なんとマニュアルを出版している大先生に、
これまたつきっきりで教えてもらいました。

 

ここ10数年は、機材も、ソフトも、
わからないことは、「よろしく」しちゃえる人がいらっしゃるので、
ちょっと音楽機器からは遠ざかっていますが、

 

今度は、PC関係のソフトやアプリを学ばなくてはならなくなって。

マニュアル首っ引きで取り組んだり、
周囲の方に丁寧に教えてもらったりしているのですが、

pages、パワポ、ワード、FileMaker、エクセル、photoshop、ワードプレス・・・

dropboxにクラウドにapplemusicにItunesに・・・

 

いやぁ〜ん。もうわからんっ!

もともと理系とは正反対なポジションで生きていた私としては、
最早あっぷあっぷです。

 

しかしね。

 

これまでの自分の歴史を振り返れば、

テクノロジーから逃げ出さず、
真摯に教えを乞い、
最低限のことができるよう取り組んできたおかげで、
そして、根気よく教えてくれた先生たちがいてくれたおかげで、
運を切り開いてこられたとも言えます。

 

テクノロジーは、日進月歩。
退化することは、あり得ません。
 

年齢と共に、新しいことを学ぶことはしんどくなります。
一旦、背を向けて、逃げ出してしまったら、そこでゲームオーバー。

最先端を追いかけるつもりはありませんが、
それでも、完全に取り残されれば、
いつか、新しい世界の扉を開けなくなります。

 

古き良き時代を懐かしむ気持ちは、私にもあります。
しかし、かつて、電話や手紙やパスポートが開いてくれた、
ドキドキ、ワクワクへの扉を、
今、開いてくれるのはテクノロジーなのだとしたら、
 

やっぱり、いつまでも、せいぜい鍵のありかくらいは、
見つけられる自分でいたいなと。
 

そんな風に思いながら、今日もPCに向かうのです。

15662604 - man crouched in a box holding one of his feet

 - Life, My History

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

生きるって、信じることなんだ。

何年くらい前のことでしょうか。 世界の舞台で活躍した、某有名シンガーとお話をする …

セルフイメージは声に出る

歌のレッスンをしていると, 歌う前から、「歌えない」「失敗する」と決めている人に …

人間関係はいつもちょっぴりだけ片想い💔

唯一無二の音楽仲間であり、大親友。 悩み事も、相談ごとも、とにかくなんでもきめ細 …

若い頃の努力は金✨

「若い頃の努力は金✨」。 若い頃そんな風に言われると、 なんだか強制されている感 …

集客ってどうします?

SNSどころかインターネットもなかった時代、 バンドの集客って、一体全体、 みん …

手癖でやらない。 慣れでやらない。

ここ数年、 自分というコンテンツを最後の一滴まで、 言語化、文字化、映像化して絞 …

「悔しい」「うらやましい」「憎たらしい」がパワーの源

自分が叶えたくて仕方のない夢を、 身近にいた人があっという間に実現してしまったと …

「声が届かないって、こんなに自己肯定感を下げるものなんだ」。

何年か前のこと、 風邪をこじらせて、声がカッスカスになってしまいました。 よほど …

「表現したい」という欲求は、 それが可能な人にのみ与えられるエネルギー。

「クリエイティビティの源は何ですか?」と聞いたら、 「リビドーですよ」と答えたア …

「ありのまま」ということばを免罪符にしない。

作品でも、パフォーマンスでも、 作り込むより、パッションが大事とか、 ありのまま …