やっぱ、近道はないのよね
「おとうさんの知り合いにレコード会社の人がいるんだけど、会ってみる?」
「仕事関係に某事務所のお偉いさんがいるからライブに連れて行くよ」
こんな風に言われたら、
「やったぁ〜!ついに、自分にもチャンスが巡ってきたぁ〜!」
と思うでしょうか?
アマチュア時代の私は、もれなくそう思い、
小躍りし、期待に胸をわくわくさせながら、その日を待ったものです。
しかし、こういう、「コネ」で誰かに会うお話は、結構くせモノです。
紹介してくれる人自体が、こちらの音楽に感動して、
誰かに引き合わせようと骨を折ってくれる場合は別ですが、
たいがいは、「ダメ元で紹介してみる」レベル。
先方も「頼まれて、仕方なく」会ってくれるわけですから、
そこに情熱はありません。
大手レコード会社の人と言われて、喜んで会ってみたら、
著作権関係を管理する事務職の人だったり。
某事務所の人たちが、ぞろぞろと連れだってライブ会場にやってきて、
ドキドキしながら歌いはじめたら、1〜2曲で全員が席を立って、
またぞろぞろと出て行ってしまったり。
なんだかんだダメ出しばかりされて、話が終わったこともありました。
ライブハウスや路上で、いきなり声をかけられて、
スターダムにのし上がったなんて人は、
どんだけ恵まれているんだろうと、心からうらやましく思ったものです。
さて、しかし、トレーナーとして、アーティストたちの話を聞けば、
実際は、それほどシンプルではありません。
ライブハウスで気に入られた。
→ライブハウス主催のライブに出演するようになった。
または、ライブハウスから自主制作盤を出すことになった。
→ライブを見に来た事務所関係者に気に入られた。
または、音源が耳にとまった。
ここまでの道を辿る人は、実にたくさんいます。
ライブハウスも新人発掘に力を入れているところもあるようですし、
新人を探している事務所などと連携しているところもあるでしょう。
しかし、大変なのはここからです。
「君、いいねぇ」と言ってくれる事務所関係者の人が、
どのくらい力のある人なのか、
どのくらいの情熱を持って、関わってくれるのか、
今現在、何人くらいに声をかけているのか、
事務所自体に、アーティストを育成する余裕があるのか、
などという、政治的、ビジネス的側面。
声をかけてくれた人と、自分たちがどのくらい音楽性があうのか、
というか、そもそも、その人は「音楽」がわかっているのか、
などなどの音楽的、人間的側面。
そして、事務所がどんなにプッシュしても、
売り込んだレコード会社とタイミングがあわなかったり、
それぞれの思惑にハマった楽曲ができなかったり、
そうこうするうちに、こちらが体力、気力を失ったり、
バンドが不仲になって解散したり・・・・
「ライブハウスで声をかけられて、デビューに至る。」
と書かれるプロフィールの裏側には、
そんな、長い年月と努力、運と縁の積み重ねがあるわけです。
近道なんか、ありません。
いい音楽を一所懸命つくる。
誠心誠意、いい演奏をする。
そして、ちぎっては投げ、ちぎっては投げされながらも、人に会い続ける。
ぼろくそぼろくそ言われても、めげずに会い続ける。
チャンスと思ったら、乗っかってみる。
チャンスがピンチに変わっても、焦らず、腐らず、ただ続ける。
そして、もっといい音楽を、もっと一所懸命つくる。
もっと誠心誠意、もっともっといい演奏をする。
もっともっと人に会う。。。。
そんな積み重ねの中で、少しずつ、
重い、重い扉をこじ開けるように、運が開けていく。
自分自身、納得のいくような方向性を見いだせる。
早く結果を出したかったら、
このサイクルを可能な限り速く回すしかないのですね。
結局、日々是精進です。
【Day-to-day】
MTL12、あっという間にDay3が終了しました。
第1期にも増して、熱い雰囲気の第2期。
テキストも、システムも、日々バージョンアップ中。
そして、みなさん、びっくりするほど上達しています。
我ながら・・・マジカルだ(^^)
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