大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

がんばり方は教えられません。

   

何年か前のこと。
レッスンにやってきた学生があきらかに練習した形跡がないので、
「練習してないでしょ?」と言ったら、
「先生!あたし、なんでがんばれないんでしょう〜!?
がんばりたいって思うのに、がんばれないんですっ。」
と、妙に悲しそうな顔で言います。

なるほどと、こちらはなんだか腑に落ちて、
「無理してがんばることはないよ。もっと他に好きなこと、やりたいことが見つかるかもしれないよ。」と冷静に言うと、
「何言ってるんですか、先生っ!
がんばらせるのが、先生でしょ!?そんなこと言わないでくださいよ〜」と来て、
「はぁ〜?」と思わず大きな声が出ました。

人間、好きなことしか一所懸命できない。
寝ても覚めてもそのことしか考えられないくらい夢中になれることじゃなくちゃ、
人より抜きんでることはできないし、もちろん成功もしない。

がんばらなくちゃって思ってがんばるのって、苦痛ですよね?
苦痛なことは、続かない。
なんで、そんな苦痛なことをやりたいと思うのか、心の底から理解できません。

もっと好きなことが、きっとある。
「やりなさい」と人に強要されなくても、寝るのを忘れてやり続けてしまうくらい夢中になれることがきっとある。
それって、別に、音楽とか、スポーツとか、勉強とか、そんなカッコいいことじゃなくてもいいと思うんです。
旅行だっていいし、デートだっていい。
夢中になれることに全身全霊夢中にならなくちゃ。
人生はほんっとに短いのに、なんでやりたくもないことを「がんばらなくちゃ」と思うのか。

夢中になった先に見える世界が、自分の未来。
もっと、夢中になれること、気づいたらがんばっちゃってるようなこと、
見つければいいんです。

でもって、「がんばり方」というのは高い学費を払って、大学生まで来て教えてもらうようなことじゃないので、そこんとこもよろしく。

 

■本気でうまくなりたいと思ったら、迷わず受けて欲しい。
6日間にコミットして、歌に対する自己肯定感を一気にあげてください。
第10期 MTLヴォイス&ヴォーカルトレーニング。11月開講です!

 - ある日のレッスンから, ヴォイストレーナーという仕事, 夢を叶える

  関連記事

「売れてるもの」が嫌いな人は「売れない人」?

あまのじゃくなのか、変人なのか、 こどもの頃から、 「みんなが好き」というものに …

「向いてない」って、なんだよ?

つい数日前、はじめて訪れた耳鼻科の先生に、 「この声帯の形からすると、あなた、 …

no image
Think big!

最近、学生たちと話していて、気になることがあります。 これからどうなりたいの?と …

「認められたい」という思いを叶える方法

「音楽ビジネスって、社交クラブみたいなものなのよ。 一度中に入れば、そこから自然 …

「先生」と呼ばれたら、自分の胸に問うべき質問。

人には誰にも、その人特有の成長のスピードというものがあります。   小 …

「やりたい」と「できる」と「やる」

「音大目指すなんて、今からじゃ無理よ」 中学2年の時に、 とある音楽教室の先生に …

「生徒に誉められよう」という想いで歌わない。

ヴォイストレーナーという仕事をはじめた時から、 常に自分に言いきかせていることは …

歌は、習っても、習わなくてもいいのだ。

歌だって、楽器だって、誰かに習う必要なんか、もちろんありません。 立派な学校に通 …

「声」は自分で選ぶ。〜Singer’s Tips #8〜

「●●みたいな音楽やりたいんですけど、声質が向いてなくて」 「△△さんみたいに歌 …

「課題曲」って、どうよ?

大学4年になったばかりのこと。 清水の舞台から飛び降りる気持ちで通い始めた歌の学 …