オーディションに失敗したくらいで、いちいち落ち込んでる暇なんかないのだ。
長年業界におりますが、
いわゆる「オーディション」を受けたのは2回だけ。
2度とも見事に玉砕しました。
1つ目は、大学を卒業して間もない頃。
音楽学校で知り合った仲間に誘われて受けた、
なんと、東京ディズニーランドの、
園内で演奏するバンドのオーディション。
(え〜〜〜〜っ!??←街の声)
演奏する曲は自由ということでしたが、
選んだのはこともあろうに”What’s Going ON”。
しかもシンディ・ローパーのバージョンを、
かなりハードにシャウトして歌った記憶があります。
バンドは音楽学校の中でも評判の腕利き揃い。
ほとんどがすでにプロで活躍していました。
会議室のような場所で、
スーツ姿の人たちの目の前でやったにしては、
演奏も歌もなかなかのできで、
本人たちは至って満足でした。
しかし、落ちますね。
当然です。
ルックスも、選曲も、歌も・・・
どこをどう輪切りにしても、
東京ディズニーランドの求めている人材とは
かけ離れた存在だったに違いありません。
私がオーディションをやる側だったら、
「あらあら。なんかおかしなの紛れ込んで来ちゃったわね〜。」
と苦笑したでしょう。
「お呼びじゃない。」です。
それに気づいたのは、何年も経ってから。
おとなになって、
東京ディズニーランドに何度か遊びに行って、
やっと、そのとき求められていたのはどんなものだったかを知ったのです。
オーディションを受けた当初はお金もなくて、
ディズニーランドという場所にはほんの2〜3回出かけただけでした。
だから、オーディションに落ちたときは、
結構落ち込んだのを覚えています。
2つ目に受けたオーディションは、
某ミュージシャン事務所のオーディションでした。
すでにお仕事もそこそこしていて、歌にも自信がありました。
しかし、まだまだ仕事は不安定で、
事務所に所属するミュージシャンというものに憧れていた時期です。
そこに所属すればメジャーのお仕事がどんどんもらえるのでは?
という期待(幻想?)をいだき、
オーディション料を支払って、
その、大がかりなオーディションに応募しました。
ところが、先方から送られて来た課題曲は、
ユーミンの『土曜日は大キライ』。
さすがに、その頃は少しはものがわかるようになっていたので、
その曲を聴いた瞬間に、
「終わった・・・」と思いました。
年齢不問&経験不問と謳われたミュージシャンオーディション。
しかし、その課題曲に、
彼らが求めるミュージシャン像が、
メッセージとして、しっかりと刻まれていたのです。
「なに、この曲?
これ、どう歌えって言うの〜?」
課題曲を受け取って、そう思った時点で、
オーディション終了。ちーんです。
まぁ、せっかくお金を払ったので、
当日、オーディションを受けには行きましたが、
もちろん、なしのつぶて。落ちました。
オーディションに落ちて、嬉しい人はいません。
誰だって、落ち込みます。
しかしね。
落ち込む前に、いや、
そもそも、そのオーディションを受ける前に、
今一度、冷静になって考えてみるべきことがあります。
このオーディションは、誰が、なんのために開いているのか?
彼らは、どんな人材を求めているのか?
そもそも、本当に人材を集めるためのオーディションなのか?
オーディションを受ける人の多くが(若かりし頃の私も含め)、
勘違いしているようですが、
オーディションは、偏差値の高い順に受かるというような、
優劣を競う場とは少し違います。
ある種の才能を求めている人が、
その才能を持っている人を探すためのお見合いのようなもの。
お見合いで失敗していちいち落ち込む必要はありません。
そもそも、相手に望まれて、いざ付き合いだしてみたら、
こちらから願い下げということも、よくあることです。
お見合いに成功する秘訣は、
ベストパートナーに出会うまで、お見合いをし続けること。
落ち込んでる暇はないんですぞ。
若者よ。
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