大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「音楽の楽しみ方は自由」って言いますけど。

   

1970年代。
世界的アイドルとなったベイシティローラーズ。
日本公演が決まって、同級生はみな、大騒ぎでした。
 
私は当時、すでにビートルズに目覚めていて、
「音楽はビートルズとそれ以外」と考えていたくらい、
極端なビートルズLOVER♡
キャーキャー騒ぐ同級生たちの気持ちは、
ほとんどわかりませんでした。
 
とはいえ、毎日ラジオから流れくる彼らの曲には、
自然と口ずさんでしまうようなキャッチーでいい曲がたくさんあり、いつの間にか私も、ローラーズの曲を聞くようになっていました。
 
中でも、ジョン・ポール・ヤングのカバー『イエスタデイズヒーロー』というハードな曲が大好きになって、その曲を生で聴いてみたい、どんな風にギターを弾いているのか見たい、という一心で、友達と一緒に、生まれて初めて、武道館に出かけたのです。
 
しかし、です。
 
ベイシティーローラーズがステージに登場した瞬間から、
会場は、それはもう耳をつんざくような金切り声の嵐。
 
ギターの音どころか、ヴォーカルの歌さえまともに聞こえません。
 
“S・A・TUR DAY Night!”
 
と聞こえなくちゃいけないのに、

“Sきゃあああああああああ
れすりぃ〜〜〜〜〜っっっっAY Niぎゃああああああああ!”

です。
 
これには、ひっくり返りそうになりました。
 
な〜んにも音楽が聞こえなかったのに、
翌日の朝まで耳がみ〜〜んと言っていました。
 
おまけに、翌朝学校では、同級生たちに、
 
「MISUMIったら、じーっと席に座ったまんま、オペラグラスで食い入るようにステージ見ちゃってさぁ・・・」
(実際にはほとんど、女の子たちの頭しか見えていませんでしたが)と、軽く変人呼ばわりされたりしました。

 

音楽の楽しみ方って言うのは、
もう、本当にいろいろだなぁと、感心したものです。
 

何年も前にひとりで出かけた、
イギリスの某ロックバンドのコンサートでは、
早めにライブハウスに着いて、
ステージ真っ正面のど真ん中の柵の前に陣取りました。
 
ところが、演奏が始まるやいなや、
後ろから雪崩のように人が押し寄せて、
柵にお腹を押しつけられ、呼吸さえ困難になりました。
 
おまけに上からどさどさ人が降ってきて、
あまりの恐ろしさに、命の危険を感じ、
結構なお値段を払ったコンサートでしたが、
早々に帰ってきてしまいました。
 
こうなると、音楽を楽しみに来ているのか、
欲求不満をフィジカルに解消したいのか、
よくわかりません。

 

音楽の楽しみ方はいろいろ。
それもいいでしょう。

でもね。人の迷惑、考えなくちゃ。
いい大人なんだから。。。

 

さて。

一昨日、『山下達郎 ライブで大声で歌う客に苦言』というYahooニュースを見ました。

 

あ。。。。

記事を読むうち、強烈な胸の痛みに襲われました。。。

 

心当たりあることが多すぎて、いちいち書けません。

正直、聞こえてるとか、迷惑になっているとか、
そういう意識はなく。。。むにゃむにゃむにゃ。。。

PAからものすごい大きい音出てるから、
他の人には私の声とか聞こえるなんて、
想像もしてなくて。。。むにゃむにゃ。。。

なにを言っても、言い訳にしかなりません。。。

あぁ、反省。

 

音楽の楽しみ方はいろいろ。

みんな、楽しみたくてコンサートに行くのだから。

守るべきマナーはちゃんと守らなくっちゃ。。。

 

肝に銘じます。

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