音楽環境が人をつくるのか。 人が音楽環境を選ぶのか。
今はもうすっかりおとなの甥っ子が、幼稚園生だった頃の話です。
アニメ関係の仕事をしていた姉夫婦の一人っ子だった甥っ子。
両親が忙しかった関係で、
小学生に上がる直前まで私の実家に住んでいました。
まだ私もバリバリ車を運転していて、
甥っ子を乗せて、よくドライブをしたものです。
車でかけるのは、もちろんロック。
幼稚園生だった甥っ子が洋楽など興味を持つはずもありませんから、
いつも、ロックをBGMに、
2人で他愛もないおしゃべりしていました。
あるとき、ドライブ中に、
当時大好きでヘビロしていたシンプリーレッドのアルバムを、
かけたときのこと。
甥っ子がいきなり、サビ部分、
しかもハモメロを一緒に歌い出したのです。
一瞬、我が耳を疑いました。
そのくらい、いきなり、ハモったかと思うと、
また、普通におしゃべりしています。
すっごい。
これって、英才教育ってヤツ?
と、我ながら感動したものです。
やがて甥っ子は姉たちの家に戻り、
普通にゲーム好きなティーンエイジャーになりました。
姉の家は音楽が流れる環境とは違います。
もうシンプリーレッドは聞いてないだろうな・・・
そんなことをふと思い、淋しくなったものです。
ある日、中学生になった彼と待ち合わせをしたときのこと。
なんと!彼はウォークマンを聴いているではありませんか!!
おぉおおおお、と思いました。
そっかぁ。やっぱり、三つ子の魂百までなんだな。
きっと、ロックが好きなんだな。
そう思い、彼に、ワクワクしながら訊ねました。
「ねぇ、なに聞いてるの?」
「あ・・いや・・・別に・・・聞く?」
といいながら、おずおずと彼が差し出したイアフォン。
それを耳に当てた瞬間に、
またしてもびっくりしました。
ぴっぴっぴっぴっぴっぴっぴっぴ・・・たんとととんととんとんとんとん
ぴっぴっぴっぴっぴっぴっぴっぴ・・・(こう聞こえた)
ただの電子音です。
グルーブなし。倍音なし。展開なし。。。。
な。。なにこれ?
「あぁ、これね、○○ってゲームの音楽なんだよね。
これ聞いてると、上がるのよ。」
・・・・
いや。
どんな音楽を好きだって、いいんですよ。
もちろん。
そんなことに文句を言うつもりはないんです。
でもね。
でも。
環境って、すごいな、と、心の底から思いました。
もしも、彼が、あのまま、
小学校時代も中学校時代も、我が家に住み、
私と一緒にドライブをし続けていたら、
今でも彼はシンプリーレッドやスティングを聞いていたのか?
それとも、ある時期から、
突然、ぴっぴっぴっぴっぴっぴっぴっぴっぴ・・に
目覚めて、イアフォンで電子音の洪水を聞いては、
「上がる」子になったのか。
音楽環境が人をつくるのか。
人が音楽環境を選ぶのか。
一生答えの出ない疑問です。
あなたはどんな音楽環境に住んでいますか?
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