大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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いい音を聞くのだ!

   

「最初に手にする楽器がいい楽器だと、上達は圧倒的に早い。
だから、こどもにはできるだけいい楽器を買ってあげなさい」
ミュージシャンたちが口をそろえて言うことばです。

うまくなるかどうか、続くかどうかもわからないのに、最初から高価な楽器はもったいないという気持ちは、痛いほどよくわかる。
しかしね。
いい音に触れる、いい楽器に触れる。
音楽人生のスタートから、「いい音」が自分の基準になることは、その後の音楽人生の在り方を大きく変えます。

かくいう私は、音楽の英才教育などとは無縁の幼少期を過ごしました。
中学になってからやっと買ってもらったピアノは庶民レベルの、小さなアップライトピアノ。
楽器屋のおにいちゃんに勧められるままにお年玉で買ったアコギやエレキは、思い返しても残念な楽器たちでした。

しかし、音楽好きだった父とオーディオマニアだった叔父のおかげで、音楽だけは、生まれたときから、ずっといい環境で、いい音を聞いてきたと自負しています。

マランツのアンプに、オーディオテクニカだったか、ビクターだったかのプレイヤー、特注の不思議な形のスピーカー。
一級品でも、一流品でもないかもしれません。
でも、父たちがこだわって組み立てたオーディオは、「いい音」を体験するには充分でした。

サラや、エラや、マヘリアや、もちろん、ゼップも、ベックも、ティナターナーも、みんな、箱鳴りのする部屋で、爆音で聞きました。
どんなに大きな音で音楽をかけていても親に叱られることはありませんでした。

その音に合わせて繰り返した完コピ。
カラダを震わせるように声を出す感覚も覚えたし、深みのある声の音色をくふうすることもこの部屋で覚えました。

友だちの家に遊びに行ったら、友だちがツェッペリンをモノラルのラジカセで聞いていて、あまりの音のショボさにひっくり返りそうになったものです。
親せきの家にあった、いわゆるオーディオセットでロックを聴いたときは、全然別の音楽に聞こえました。

いい音を聞く。リアルな、箱鳴りのするサウンドを体験する。
mp3も、Bluetoothも、サブスクも、もちろん便利で素晴らしいけれど、それだけ聞いてちゃイカンのです。

リアルなコンサートにいく。
リアルな楽器と一緒に歌う。

リアルないい音、ガンガン聞いていきましょう!

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 - 声のはなし, 音楽

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