大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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「なにがしたいか」にフォーカスする!

   

はじめて、音楽制作のために買いそろえたのは、Rolandのキーボードとシーケンサー、
それに、4トラックのカセットMTRと、Shureのマイク。

4トラックカセットテープとはなんぞや?という説明を丁寧にしてくれた人、
シーケンサーでのドラムの打ち込みを教えてくれた人、
シンク信号のやりとりで、一緒にデモをつくってくれた人、
できあがった作品をあちこちに聞かせて歩いてくれた人。。。
思えば、ホントにたくさんの人のお世話になりました。

フリーターの身には、痛い出費だったし、なにがなんだかわからない機材を買い込むことは、ホントに勇気がいったけど、あのとき、えいやっとDTMの世界に飛び込んだことが、今の私をつくっている。
本当に英断だったと思います。

あれから、むにゃ十むにゃ年。

今は、音楽よりも、動画制作に取り組むことの多い日々。

あの頃の相棒は物理的に手に持てるものばかりだったけど、今や、ソフト。
いわば、ただの概念みたいなもんです。
これがもう、なんっでもできる。そして、なんでもできすぎて、なにがなんだかわからない。聞いたことのないカタカナ語を前に、怯むことしばしばですが、そんな時は、いつも初心に返ることに決めています。

「なにができるか」ではなく、「なにがしたいか」にフォーカスすること。
これは、私の人生の哲学です。

この機材には、これこれができる、と考えるのでも、
自分の能力なら、こうこうこういうことが可能だ、と考えるのでもなく、
自分は今、なにがつくりたいのか、なにがしたいのかにフォーカスして、
それを可能にする方法を模索する。

80年代90年代でもできたんだから、今の時代にできないわけはありません。
今の時代にはGoogleがあります。
検索ワードさえ適確にみつけられれば、いかなる情報もすぐに流れこんできます。

「こんなことできたらいいな」と自分が思うことは、他の誰かもたいがい考えている。
だから、必ず解決方法はあります。
数年前までできなかったことが、今はいとも簡単にできたりもします。
そういう意味では、数年前の自分にしがみついていちゃいかん。

すべてが可能なら、という発想でスタートする。
方法論を探す。
ちょっとでもこれかな?と思ったら、とりあえず、やってみる。

やってみると、自分にはなにがわからないのかが明確になってきます。
そしたら、またググる。やってみる。その繰り返しです。
すると、気づくとぐんぐんわかるようになっています。

基本、洗練されたものというのは、誰にでもわかりやすく、使いやすくできているもの。
怖れるにたらず、です。
使いにくいものは、ハズレだと思えばよい。
自分のせいじゃない。ここ、ポイント。

今、私が教えを乞うているのは先輩じゃなく、かつての、そして今の、教え子たちです。
そういうコラボも、やたら楽しい。

一生、学びです。

 - Life, クリエイト

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