今さら知りたい?「いたずら電話撃退法」
“Hello, Maria?”(ハロー、マリア?)
ひとり暮らしだった頃、
時に外国人から、時に日本人から、
実に頻繁にかかってきた間違い電話です。
毎回、決まって男性。しかも、毎回違う人。
電話がかかってくるのは夜の、
結構遅い時間と決まっていて、
相手の男性の声の雰囲気から想像するに、
私の電話番号の前の持ち主・マリアさんは、
どうやらセクスィーなお仕事の外国人女性だったようです。
そう。電話って、実にイマジネーションを試される、
風情あるコミュニケーション手段でしたね。
スパイク・リーの『ガール6』という、
バイトでテレフォンセックスをするうちに、
のめり込んでいってしまう女性の映画がありましたが、
相手の声に自分のファンタジーを重ねて、
会ったこともない相手をどんどん美化したり、
その相手との距離感がわからなくなったり。
電話って、心の通う、よきツールであったと同時に、
確かに、鬱陶しいこともありました。
その中のひとつがいたずら電話。
これも、ひとり暮らし時代、
無言電話が続いたことがあります。
件のマリアさん関係の男性だったのか、
どこかでたまたま私の電話番号を手に入れたのか、
それとも、ランダムに電話して、
気になるところに繰り返しかけていたのか、
わかりません。
とにかく、こちらはひとりですから、
気持ちが悪い。
無言な時もあれば、
なんだかケケケッて笑っているときもあったり、
ごそごそと音がするときもあったり・・・。
どうやら「若い女性のひとり暮らし」というのが、
相手のイマジネーションをかき立てるらしい。
もー、いい加減にしてよ。。
悩みました。
とにもかくにも、撃退するには、
ここに男性も一緒に住んでいると思わせるしかない。
しかも、いかつい、力の強そうな、外国人男性がいい。
とはいえ、いつかかってくるかもわからない、
いたずら電話のために、
誰かにうちで待機してもらうのも大変だし、
そもそも、その人に誤解されても困る。。。
つらつらと考えるうちに、
妙案を思いつきました。
留守電に男性の声、
いや男性の声に聞こえる声を入れるのです。
まずは普通に、
「はい、MISUMIです。」と日本語で応対した後に、
黒人のいかついラッパー風のアクセントで、
“Sorry, we are not here right now!”
という声を入れました。
こちとら専門家です。
ビート感たっぷりに、
なかなかカッコいい低音でレコーディングしたものを、
さらにスピードを落としたら、
あらあら、なかなか男前な声になったじゃありませんか。
しばらくは、誰から電話がかかってきても、
まずは留守電に応答してもらうようにしていたら、
以来、ぴたりといたずら電話がなくなりました。
してやったり。
ばかやろー。
これで、変な電話に悩まされることがなくなったと、
平和に暮らしていたある日のこと、
スタジオで、久しぶりに出会ったプロデューサーさんが、
こんなことを言います。
「MISUMIさん、ご結婚されたんですね!
しかも外国人の方なんですね〜。
いやー、びっくりしました。」
え??
聞けば、仕事で電話をかけたけど、
留守電が応答して、慌てて切ったとか。。。
当時彼氏もいなかったのに、
そんな噂が駆け巡ってはじょーだんじゃありません。
家に帰るなり留守電を消去しました。
ああ、懐かしき面倒くささ。
それでも、なんでも、
やっぱり声でコミュニケーションを取る方が、
私は好きですよ。

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