「自分の声に興味ある人なんかいませんよ」
芸能界や音楽業界の人とばかり関わりあってきたからか、
それとも、私自身がボイストレーナーであるため、
そういう人が集まってくるだけなのか、
つい最近まで、「自分の声に興味のない人」の存在に気づかずにいました。
「MISUMIさんが思うほど、自分の声に興味ある人なんかいませんよ」
ボイストレーナーとしての理想を熱く語る私に、
私のメンターのひとり、Eさんがぽつりと言ってくれたことばです。
これにはドキリとしました。
何年も何十年も声と向き合い続け、
日ごと夜ごと、声のことを考え続けてきた私にとって、衝撃的な事実でした。
そう!これがまさしく、多くの日本人が抱えている問題ときづいたのです。
スピーチやプレゼンテーションの先進各国、欧米では、
学校の授業プログラムにディスカッション、ディベート、プレゼンテーションなど、
「人前で話す」がきちんと組み込まれています。
そこで、先生や生徒たちのフィードバックを通して、
話し方のみならず、自分の声そのものや発声について、考えることができるのです。
だから欧米では政治家のみならず、ビジネスパーソンの間でも、
ボイストレーニングがさかんなのですね。
一方、日本の学校の授業はレクチャー形式。
人前で話すという授業がほとんどありません。
よほど、両親や友人、先生などから、何か言われない限り、
または自分が突然目覚めない限り、
多くの人が「声」というものに意識を向けないまま社会に出てしまうんです。
あぁ、悲劇はそこで起こります。
「もうちょっとシャキッと腹から声出せ!」
「頼りなくて、クライアントに紹介できないな」
などと、上司に叱られたり、
会議で「聞こえませ〜んっ!」
「もごもご、何を言ってるのか全然わかりませ〜ん」とやじられたり・・・
中には仕事でテープ起こしをしていて、
「あまりにも自分の声が暗くてビックリ。」
などと言う人もいます。
そうしたことがきっかけで自分に自信がなくなってしまったり、
自分の声が嫌いになってしまったり、
という人もたくさんいるのです。
一生気にならないですむ人は、むしろラッキーだと言えますね。
見た目は鏡でチェックできるけど、
声は積極的に録音でもしない限り、チェックすることができない。
「声」に意識を向ける習慣、少しずつつけて欲しいです。
関連記事
-
-
退化か?最適化か?顔筋がなくなる日。
この秋から、新たに、新人グループの育成を担当しています。 高校生から20代前半の …
-
-
「お前、練習してんのか?」
先日、とある忘年会で、大先輩のミュージシャンに、 「MISUMI、ビジネスはいい …
-
-
声は、自分という人間の印象を変えるのか?
声を変えることで、自分の印象を変えることができるのか? そもそも、声は変えられる …
-
-
「大きい音」を扱うのって、テクニックがいることなんですぞ。
「ラウドな音楽をやっている」と言うと、 デリカシーのない、 雑な演奏をしていると …
-
-
頑固な、間違ったプログラムを解除して、「声」を解放する
カラダの構造や、発声のメカニズムを教えて、左脳からアプローチしても、 カラダに触 …
-
-
ビジネスマンのためのヴォイストレーニング
ただのミュージシャンだった私が突如ミッションに目覚め、 起業セミナーや出版セミナ …
-
-
今さら知りたい?「いたずら電話撃退法」
“Hello, Maria?”(ハロー、マリア?) ひと …
-
-
声帯さまってすごいんです
声帯ってどんなものか知っていますか? 声にトラブルを持ってお医者さんに行ったとい …
-
-
「”声のグラデーション理論”は世界でも類を見ない完全オリジナルだ」チャッピーは言った。
「声のグラデーション理論」。 数年前に開発し、新刊『これで、歌がうまくなるコツが …
-
-
飲み会で声を枯らさないための3つの知恵
感染者数はまだまだ多いとはいえ、 だんだんとコロナとの付き合い方に慣れて来た感の …
- PREV
- サイレント映画俳優の「声」が聞こえるとき
- NEXT
- ボイトレの一番大切なレッスンは3時間で終わる。
