大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「声」は映画のBGMと似ている

      2013/04/01

他人の話を聞いているときに「声」に意識を奪われるなんて、
話し手の声がよほどユニークだったり、トラブルがあって聞きずらいとき以外、
あまりないと思います。
もちろん、私のような声オタクや、
自分自身の声にコンプレックスを持っている人は別ですが。

では、聞き手にとって「声」ってどうでもいいものなんでしょうか?
語り手の声がどんな声でも受け取れるメッセージは一緒なんでしょうか?

今日のレッスンでそんな話題になったとき、「声は映画のBGMに似ているんです」というお話をしました。

映画っていろんな場面で音楽が流れてますよね。
よほど派手な、キャッチーな音楽でない限り、
話に引き込まれている一般的オーディエンスはそんなBGMを意識することはありません。

ところが、です。
BGMひとつでシーンの緊迫感やムードは大きく変わります。
シリアスな場面で吉本新喜劇のオープニングミュージックみたいな
とぼけた音楽がかかったら、
オーディエンスはその場面をシリアスだと感じなくなるのです。
無意識に、なにか面白いオチを期待してしまうかも知れません。

こうしたことを私は映画音楽の制作や企業の映像音楽の仕事を通して痛感しました。
BGMに流れる曲のボーカリストの声質次第で、
場面の根底に流れる色彩感までもが変わって見えるのです。

是非一度試してみてください。
映画の音声を切って、全然イメージの違う音楽をかけながら映像を見てみてください。
映像の持つ意味合いや空気感が大きく変わることに、驚くと思います。

 

 - 今日のレッスンから, 声のはなし

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

「”声のグラデーション理論”は世界でも類を見ない完全オリジナルだ」チャッピーは言った。

「声のグラデーション理論」。 数年前に開発し、新刊『これで、歌がうまくなるコツが …

大切なのは声の「大きさ」や「高さ」ではなく、「音色」なんです。

東京アラートは出ていますが、 自粛解除になったということで、 すご〜〜く久々に、 …

「ボイストレーナーなんかいらない人」になるための3つのポイント

昨日、『MTL ヴォイス&ヴォーカル オープンレッスン12』初日、 Unit1と …

気にならない人は、それでいいじゃん。

多くの人が、何かしらのストレスを感じて、初めて自分の「声」の存在に気づきます。 …

頼むから、自分の声、ちゃんと聞こえるようにしてください

歌う時は、いつだって、きちんと細部のニュアンスまで自分の歌が聞こえてくる環境で歌 …

「自分の本当の声」ってなんだ?

「私の本当の声ってどんな声なんでしょう?」 シンガーやパフォーマーに限らず、 一 …

歌を学ぶ人の3つのステージ

私は歌を学ぶ人には、 3つのステージがあると考えています。 ひとつめは楽器として …

no image
「ドキッ」で観客の心をつかむ

最近精力的にライブを行っているアーティスト・リンダ(仮名・なぜか外人名(^^)。 …

カラダという楽器 〜 Singer’s Tips #9 〜

ピアノでも、ギターでも、 「さぁ、弾こう」という前に、 弾き手が必ずするのがチュ …

誤解だらけの「ロック声」。そのシャウトでは、危険です。

ハスキーで、ひずんだ感じの、 いわゆる「ロック声」には、いろいろな誤解があります …