声の老化は隠せない
2015/12/20
「うっそぉ〜〜。ほんとにぃ〜〜?」
30年以上も前でしょうか?
女子中高校生たちの間では、こんな言い方が流行っていました。
尻上がりの独特のイントネーション。
女の子たちが、可愛く見せたいときに出す、鼻にかかった、いわゆる「ぶりっ子声」。
イラッとしたおとなもたくさんいるでしょう。
先日、小田急線のロマンスカーでひとり、物思いに沈んでいたときのこと。
後ろの座席で、いきなり、この、懐かしきイントネーションが聞こえてきました。
「うっそぉ〜〜。ほんとにぃ〜?」
振り返らなくても、中年女性のグループというのがわかったのは、
そんな昭和な言い回しのせいではありません。
他でもない、彼女たちの声のせいでした。
声も老化します。
毎日鏡でチェックするお顔の変化や衰えは、誰でも気になります。
女性たちは、年齢に応じて、高額な化粧水やクリームを塗ったり、マッサージをしたり、
アンチエイジングに余念がありません。
しかし、声にまで意識が行く人は稀です。
声は呼吸であり、振動であり、共鳴であるので、
姿勢も、カラダについた脂肪も、筋肉の衰えも、こわばりも、皮膚のたるみも・・・
すべてがダイレクトに反映されます。
音の元をつくる声帯自体も、加齢とともに、水分含有量が減り、
滑らかに振動しにくくなるとともに、小さな傷などがつきやすくなって、
声が濁って来ます。
さらには、女性ホルモンが急激に低下する40代以降、
声帯は徐々に、その厚みを増し、長さも伸びるといわれています。
そのため、女性は加齢と共に、声の高さが徐々に低くなっていくのです。
無意識のうちに老化していく声のせいで、どんなに「ぶりっ子」しても、
年がばれてしまう。
人は声で、相手の年齢を±5才の誤差で言い当てるといわれていますから、
お顔だけでなく声も手入れしないと、
アンチエイジング効果は半減なのですね。
関連記事
-
-
「声が届かないって、こんなに自己肯定感を下げるものなんだ」。
何年か前のこと、 風邪をこじらせて、声がカッスカスになってしまいました。 よほど …
-
-
カツゼツッ!!!
普段はほとんど興味のないテレビですが、 さすがに昨今、 ニュースくらいは見ておか …
-
-
ノドをウィルスから守るためできる10のこと
東京の冬場の平均湿度は40~50% 。 そこまで低い数字と感じないかもしれません …
-
-
声の変化と向き合う vol.2〜変化を受け入れ、味わい、楽しんだものが勝ち
「声の老化」についての第2回です。 第1回は、年齢を免罪符にせず、 …
-
-
声帯さまってすごいんです
声帯ってどんなものか知っていますか? 声にトラブルを持ってお医者さんに行ったとい …
-
-
カラダという楽器 〜 Singer’s Tips #9 〜
ピアノでも、ギターでも、 「さぁ、弾こう」という前に、 弾き手が必ずするのがチュ …
-
-
声の変化と向き合う vol.1〜発声は運動、歌うことはスポーツです〜
「年のせいか、高い声が出なくなっちゃって。。。」 「私、最近声が枯れてきちゃった …
-
-
鼻呼吸か?口呼吸か?
ボイストレーナーをはじめて間もない頃、 生徒のひとりに、 「私、歌う時に、うまく …
-
-
ビブラートのかけ方ぁ〜!?
ビブラートのかけ方などというものをはじめて意識したのは、 『これなら歌える!ボー …
-
-
風邪をひいたら歌っちゃだめなんです
「先生、私、ちょっとノドの調子が悪いんですけど・・・げほげほげほ、 でも、一所懸 …
- PREV
- 話を聞かない生徒 話をさせない先生
- NEXT
- 批評家目線を捨てる
