大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

飲み会で声が枯れる理由

   

昨日お仕事納め、そこから忘年会だったという方も、
たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

1年間の仕事を終えて、気の置けない仲間と飲むお酒は美味しい。

しかも明日から当分出社しなくてもいい。

そんなこんなで昨夜は思いきり盛り上がった。
いっぱい飲んで、いっぱいしゃべって、ついでに歌まで歌った。

そんな日の翌朝、ノドを襲う不快症状。

声がれ

 

特に予定がなくても、
イガイガしたり、
異物感があったりと不快なものですが、

人に会う予定があったり、
お仕事があったりするときは、
声が枯れていると、なんとも憂鬱になるものです。

 

まして、

朝から会議がある、
プレゼンがある、
メディアの取材がある、
ライブがある…etc.
なーんて言う、決め時の朝の声がれは、
人を不安にさせ、自信を喪失させるもの。

できれば避けたいですね。

 

では、そもそも何故、飲み会で声が枯れてしまうのでしょう?

今日は以前も書いた『飲み会で声が枯れてしまう理由』を
少々整理してネオバージョンでお届けいたします。

 

1.飲み会会場の音響のせいで声を出しすぎる

会場の音の反響が激しいと、
まわりでちょっと人が話しているだけでも、
隣の人との会話が聞こえにくくなります。
自分の声も相手に届きにくいので、
ついつい大きな声になっています。

そうなると周囲の人たちの声もどんどん大きくなって、悪循環。
気づけば大声合戦のようになっています。

とはいえ、会場の音の反響はなさ過ぎても、
妙にしーんとして、話しにくいもの。
自分の声も壁に吸われて、それはそれで疲れるような時もあります。

バランス、難しいですね。

 

2.酔っ払うと、自分のキャパオーバーな声を出してしまう

アルコールは中枢神経を麻痺させると言われます。
酔うと、五感が鈍くなるのです。

飲み会がはじまった直後は、
隣の宴席の騒がしさが気になっていたのに、
いつの間にか、隣のさわぎが耳に入ってこなくなった。
しばらくしたら反対に、自分たちが、
隣の宴席に騒がしいと苦情を言われた。。。

などという経験はないでしょうか?

酔うと耳は聞こえにくくなります。
発声器官の感覚も鈍くなるため、
気づけばキャパオーバーな声をだしているわけです。

 

3.飲み会会場は空気が悪い。

会場の空気は照明で乾燥し、
調理場から流れてくる煙や埃で汚れているもの。
喫煙可能な場所では、副流煙なども心配です。

声帯様は乾燥と埃に弱い。
ダブルパンチですね。

 

4.水分不足で声帯様が乾いてしまう。

アルコールには利尿作用があります。
だから、アルコールを飲んでいると、
お手洗いに何度も行きたくなるのです。

「ノドが乾くから、ビールをたくさん飲もう!」というのは実は逆効果。

「ビールなどのアルコール類の飲みすぎは、細胞内の水分を減らし、脱水症状をきたす危険性もあるのでご注意ください。」とは、
なんと、アサヒビールのHPにも書かれていることです。

飲むなら、きちんと「水」で水分を補給しながら。
これが大切です。

 

5.カラダがむくんでいるときは、声帯様もむくんでいる。

お酒を飲んだ翌朝、カラダがむくむのは、
先ほど書いた、アルコールの利尿作用と関係が深いようです。

カラダが脱水症状に気づき、
今度はたくさんの水分を吸収しようと働く。
だから、アルコールと一緒に過剰な水分を取るのはNGなのだそうです。

うーん難しい。

まして、飲み会の食事には塩分がたくさん含まれているものが多いため、
ますますカラダがむくみやすくなる。

カラダがむくんでいれば、声帯様もむくんでいます。
むくんだ声帯様は非常に動きが悪い。
だから、声がスッキリ気持ちよく出ないという事態が発生するのですね。

大切なのは寝るまでにアルコールを分解できるようにすることだとか。

要は、飲み過ぎるな、ってことのようです。

 

いかがでしょう?

「やっちまった」と反省する前に、
原因を少しでも排除できる工夫をすることも大切ですね。

 

もちろん、「明日は多少声枯れちゃったっていっかぁ〜〜。」

という日は、な〜んにも気にしないで、
思いきりはじけてくださいね(^O-)〜★

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 - カラダとノドのお話, 声のはなし

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