気にならない人は、それでいいじゃん。
多くの人が、何かしらのストレスを感じて、初めて自分の「声」の存在に気づきます。
「風邪を引いて声が出なくなった」「応援で声が枯れた」という健康上のものから、「人に頻繁に聞き返される」「自分の声が届いていないと感じる」という、コミュニケーション・ストレス。
中には、「人に声をけなされた」「歌を笑われて恥をかいた」などの負の経験による、トラウマがあるという人もいます。
それ以外の人は、じゃあ、みんな自信満々なのかというと、そうではなくて、
実際、「自分の声を好きですか?」と質問すれば、7割が「好きではない」「嫌い」と答えますし、初対面で私が名刺を渡すと、必ずと言っていいほど、「ボイトレ興味あるんですよ」「私の声ってどうなんでしょうね?」と質問してきます。
つまり、漠然とした不安やストレスを抱えている人は、7割以上いるということです。
この潜在的な不安やストレス、さらには、声がよくなることのメリットをいかに世の中に伝えて、ボイトレのニーズを掘り起こすか。
エンドレスで出版社と企画のやり取りをしていた時も、これが大きな課題。
それができなければ数字が出ない、というわけです。
10数年の間、様々な人とやりとりをしながら、あれこれ知恵を絞りましたが、結果、今まさに困っているという人以外、声に対する不安やストレスが、人生で解決しなければいけない事柄の優先順位の上位にあがってくることは、まず、ないだろうという結論に至りました。
生きるということは不安やストレスの連続です。
お金や健康、人間関係、教育に仕事。。。
そんな数え切れない不安やストレスを抱えているひとたちに、日頃なんの不自由も感じていないような「声の不安」を、わざわざ煽りたてるのは、我田引水以外のなにものでもない。
そんな風に思うようになったんです。
一方で、人や自分の声にびっくりするほど敏感な、声コンシャスな人というのが、少数派ながら存在します。
話すことばに影響力があって、スピーチのうまい人ほど、そうした意識が高い傾向があり、
人の話す声を聞いては、「あの人はあの声ではもったいない」
「老けて見えるのに、なんで声のトレーニングしないんだろう」と、ことあるごとに語ったります。
声はブランドだ。声はエネルギーの象徴だ。
という、私がつかいそうなことばで、声を語る人さえいます。
そうして、ご自身がボイトレを受けるだけでなく、お弟子さんやクライアントさんたちにボイストレーニングを勧めてくれるのです。
声というのは不思議なもので、一旦そこに焦点があいだすと、なにかにつけ気になる。
だから、レッスンを受けた人たちは、またそのお友だちや知り合いに、ボイトレを勧める。
もうね、一般にボイトレを広めるには、こんな風にちょっとずつ、周囲を啓蒙していく。
そんな、草の根からのボイトレ運動しかないと思うわけです。

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