「大学って夢をあきらめるために来るところなんですよね?」
2017/10/18
夢と希望に胸を膨らませて日本全国からやってくる学生たち。
入学の時の夢は、
「自分は歌に救われたんで、私もいつか自分の歌で人を救いたい」
「存在感のあるアーティストになって、大きなステージで歌いたい」。
キラキラと希望に満ちあふれた目でそう言う若者たちに会うと、
こちらまでワクワクするものです。
しかし、1年、2年と大学で時間を過ごすうちに、
やがて彼らはさまざまなことを学びます。
自分にはたいした才能がない。
才能がある子って、○○ちゃんみたいな子のことを言うんだ。
やっぱり可愛い子じゃないと事務所とか相手にしてくれない。
音楽じゃ食べて行かれない。
夢みたいなこと言ってないで、ちゃんと社会人にならないと・・・。
それを「学習」「悟り」と考えるか、
「挫折」「あきらめ」と考えるかはそれぞれですが、
そうやってだんだんと、
みんなの目から「キラキラ」が消えて、
おとなの顔になっていくのです。
「音楽学校は、フリーター製造所じゃダメなんですよ。
やっぱりちゃんと社会に貢献できるおとなをつくらなくちゃいけない。」
少し前に、とある音楽学校の偉い方が、こんなことを言っていました。
だから、才能がある子は音楽の世界でがんばればいいけど、
そうでない子は、自分のできることを早くみつけて、
卒業したら、ちゃんと社会人にならなくちゃいけないというのです。
うん。
わかる。
わかります。
そうですよね。
一億総フリーターみたいな世の中になったらダメだし、
叶うはずのない夢を追いかけて、いたずらに年を重ねれば、
人生を棒に振る。
取り返しのつかないことになる。
親を泣かせる・・・。
その通りです。
そんなのダメですね。
ちゃんと社会人になって、お金稼いで、税金収めて、
自分がお世話になった社会に貢献しなくっちゃ。
親に恩返ししなくっちゃ。
全部、ほんとうに、よ〜く、わかります。
ただね。
私、未だに、
ミュージシャンとしてプロになるか、ならないか、
音楽で食べていけるのか、いけないのか、
アーティストとして生きていけるのか、いけないのか、
それって、ぜ〜んぶ、自分が決めることだと考えているのです。
なれるとか、なれないとかじゃない。
誰かが、「大丈夫」と言ってくれるからじゃない。
若けりゃいいってもんでもないし、
いい曲書ければ、可愛ければ、歌がうまければ、
それでやれるなんて、甘い世界でもない。
「やる」と決める。
もしくは「やるしかない」と感じる。
そうしたらね、
後は、どんなに蜘蛛の糸のように細っい細っい可能性でも、
たぐり寄せるしかないでしょ?
たぐり寄せて、たぐり寄せて、
先が切れていたら、
次の糸を探すしかないでしょ?
そうやっていくうちに、
「もういいや」って腑に落ちて、
次のステージに進む人もいます。
そのうちに、どかんと何かに行き当たる人もいます。
全部、自分が引き寄せることなんですね。
それをおとなが勝手に、
「君は無理」「君はがんばれ」とジャッジして、
あたかもそれが決定事項のように洗脳するのは、
やっぱり絶対違うのです。
情熱を燃やし続ける子がいたら、
ほっそいほっそい希望の糸を、一緒に探してみる。
可能性が、1ミリでもあることなら、
それをやり抜けるすべを指導する。
もっとこんな方向が、
いや、こっちはどうだと、一緒に情熱を傾ける。
少なくとも、教育の現場は、そういう場所であって欲しい。
現実的じゃないことを言っているのもわかります。
そんなこと言わないでくれ、という人もいるでしょう。
でもね。
夢をなくした人が住む世界は、きっと明日も暗い。
自分の未来は自分で選び取る。
夢に向かって邁進して、自分の未来を切り開く。
そんな社会であって欲しいな。
そう願ってやまないのです。
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