大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

セルフイメージは声に出る

   

歌のレッスンをしていると,
歌う前から、「歌えない」「失敗する」と決めている人に、
実によく出会います。

そもそも「負け」に行ってますから、
声なんか出るわけない。
かっすかすでしょっぼしょぼ、
しかも緊張でかっちんこっちんの声です。

「歌えない」と信じている人を、
いいシンガーにすることはできません。

イメージ通りにカラダは機能するのです。

こんな人たちにもっとも有効なのは、
筋トレでもストレッチでもヴォイトレでもなく、
マインドセットを塗り替えること。

1. 過去から現在にいたるまでの個人史をヒアリングし、
「今、なぜ歌えないのか」を分析、説明する。

2. なぜ「誰もが思い通りに歌える」のか、
科学的な根拠を提示しながら、
納得できるまで徹底的に説明する。

3. シンプルな課題をひとつひとつ、
段階的にクリアさせることで、
モチベーションを上げる。

4. 「できた瞬間」を的確に捉えて、
即座に誉める。

5. 小さな成功体験を積み上げることで、
「いつかできる、という確信」を導き出す。

このような手順で、薄皮をはがすように、
「負け犬マインド」をはぎ取って、
セルフイメージを育てていくのです。

シンガーに限らず、
こうして心身の鍛練と成功体験を積み重ね、
段階的に磨き上げたホンモノのセルフイメージは、
生涯に渡って、自分を支えてくれるパートナーになるはずです。

 

気合いや思い込みだけで、
セルフイメージの低さを克服しようとしたり、

相手を威嚇したり、
時にマウンティングをキメることで優位に立ち、
セルフイメージの低さを
カモフラージュしようとする人を時折見かけますが、

どんなに強そうに振る舞っても、
心のどこかがおびえていると、
遅かれ早かれ、
周囲に見破られてしまうもの。

やっぱりホンモノのセルフイメージを育てる以外、
ないんですね。

◆【ヴォイトレマガジン『声出していこうっ!me.』】
ほぼ週1回、ブログ記事のインサイドストーリーなど、1歩進んだディープな話題をお届けしているメルマガです。無料登録はこちらから。バックナンバーも読めます。

 - B面Blog, Life, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 声のはなし, 夢を叶える

  関連記事

デビューを夢見る若者は「白馬の王子さまシンドローム」?

白馬の王子さま。   苦しい人生を一転させてくれる、素敵な男性の代名詞 …

歌と「向いてない」とクソまずいケーキ

「歌がうまくなりたいんですけど、なにをしたらいいですか?」 と質問されると、反射 …

風邪に克つ方法

普段、どんなに目の前でゲホゲホやられても、 「そんな風邪は絶対にうつらない」、と …

無価値感になんか負けないっ!

20代の終わりの頃、 洋楽コンプレックス、英語コンプレックスを払拭するために、 …

リズムをカラダで感じるための初歩練習~Singer’s Tips#28~

音楽にあわせて足踏みをする。 手を叩く。 小さなこどもが音楽教室に入って、 一番 …

「切り際」で、歌は素晴らしくも、へったくそにもなる。

昨日、「音の立ち上がり」は、 歌い手の声の印象を大きく左右する、 というお話をし …

アドリブ上達の唯一の方法

「音程感のないアドリブをやるくらいだったら、 素直にストレートメロディだけ歌って …

「売れてるもの」が嫌いな人は「売れない人」?

あまのじゃくなのか、変人なのか、 こどもの頃から、 「みんなが好き」というものに …

関係性がつくれないから上達しない。

ここ数年、芸能事務所や音楽事務所の 新人育成ワークショップを担当させていただく機 …

その時間を「練習」と感じるか、感じないか。問題はそこです。

「毎日、何時間勉強してる?」 「なにやってるの?問題集?」 試験前になると、 成 …