大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

開けゴマ!

      2022/12/24

「開けゴマ〜!」

言わずと知れた、
『アリババと40人の盗賊』のクライマックスシーンに登場する、
世界一有名な呪文のひとつです。

幼稚園の頃だったか、
こども向け劇団の公演で、この劇を見ました。

盗賊たちの宝を持ち逃げしようと、
財宝の入った袋を両肩に担いだ、アリババの兄・カシム。
洞穴から逃げだそうとするも、
肝心の岩戸を開く呪文を忘れてしまう。

盗賊たちが帰ってくれば命はありません。
思いつくことばを片っ端から叫び続けるカシム。
舞台の奥手から盗賊たちが迫ってきます。

「開け米ぇ〜」
「ひ、、、開け、麦ぃいいい」

緊迫した舞台演出と、
カシムの怯えきったようすに、
私たちまでがすっかり恐ろしくなって、
大きな声で「ゴマ〜っっ!!!!」
「ゴマだよっ!開けゴマ〜〜〜っ!」
とカシムに向かって必死に叫び続けたのでした。

さて。

何年も前に会社の名前で実験的につくった、
Youtubeチャンネルがあります。

つくるだけつくって、そのまま放置すること7年。
あるとき、「あら、そういえば、こんなのあった」と、
思い出しました。

見れば、コンテンツはちょんぼり。スッカスカ。
しかも、「これは消しておきたい」という動画もある。

そもそも、会社の名前のついたYoutubeなんだから、
もっと活用しなくちゃと、作業をしようとして、
はたと気づきました。

「Gmail、なんだっけ?」

ご存知の方も多いと思いますが、
YoutubeはGmailのアカウントで管理していまして。

このGmailアカウントというのが、
まぁ、実に簡単につくれまして。

会社の新規事業スタートでアドレスが必要になるたびに、
サクサクつくっていたら、
あら。気づけば結構な数です。

メインのYoutubeはメインのGmailアドレス。
FabtracksはFabのGmail・・・
と、次々確認するも、
肝心のMTLのYoutubeチャンネルを管理しているであろうGmailがありません。

片っ端から、Gmailアドレスを入力し、
パスワードを入れてみるも、ダメ。

それならと、IDで入ろうとするも、
パスワードが何を入れても跳ね返されます。

そして、IDから入るには、パスワードは必須。
IDを確認するには、メールアドレスが必須。

メールアドレスも、パスワードもわからなくなったら、
後は放置するしかないといいます。

会社の名前のついた、
しかも、消しておきたいコンテンツがあるチャンネルが、
一生、そのまま・・・・

考えただけでもぞっとします。

何がなんでも、
アドレスを突き止めるなり、
Youtubeチャンネルを消すなりしなくてはと決意した昨夜。

何時間も、何時間も必死の形相で、
Gmailアドレス、パスワード、ID、パスワートと、
ぐるぐるぐるぐる。。。

何度も、何度も、
あの時のカシムの声が頭の中でこだまします。
幼児体験って、ほんっとにすごいものです。

「開けいぬっ!!!」
「開けたぬきっ!!!」

・・・だって、だんだん、笑い事にしないと、
やってられないくらい、
切羽詰まった気持ちになったんだもん。

格闘し続けること、数時間。
記録されているすべてのGmailアドレスを
何度も、さまざまなコンビネーションで調べ、
やけくそになった瞬間に、

あ、もしかして。。。

と、リストにはなかったけど、
「このアドレス、取っててもおかしくないよね。」
というアドレスを、ふと思いつき、
かちゃかちゃと入力。

「まっさかね〜。
こんな基本中の基本のパスワードなんかで・・・」

と入力した次の瞬間です。

「開けごま〜〜〜っ」
とばかりに、いきなり、Youtubeと繫がったんです。

8年前の私の思考は、
今よりもうんとシンプルでした。

ストーリーの出典がアラビアンナイトから、
いきなり、メーテルリンクになっちゃった感覚でした。

いや、ほんっとにあきらめなくてよかった。

わかる時は一瞬なんだなー。

せっかく発掘したチャンネル。
今度こそ、ちゃんと使ってあげなくちゃと思った、
午前3時のできごとでした。

がんばる。

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