大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

自分の「サイズ」に合った声を出す

      2022/12/25

管楽器ほど、
一目見ただけで音色の想像がつく楽器もないでしょう。
大きさ通り、見た目の素材通りの音がする。

そして、それこそが、「音色」の基本です。

歌の練習を始めると多くの人が陥るのは、

自分のカラダが、
実際の大きさよりも、
遙かに大きな楽器であるかのように、

カラダをぐっと膨らませ、
口の中の空間を押し開いて、
太くて大きな声の響きを演出しようとすること。

一方、緊張でカラダだけでなく、
呼吸筋まわりや口の内外をも萎縮させて、
ぎゅっと縮こまって歌うような人もいます。

つまり、自分のカラダのサイズ通りに歌えていないのです。

たとえば、ピッコロに、
バリトンサックスを吹く時のように、
ブオ〜ッと圧の強い空気を吹き込んだらどうなるか?

反対に、トロンボーンを
縦笛のように吹いたらどんな音がするか?

楽器には、それぞれ、ふさわしい鳴らし方があるのです。

 

ビッコロでサックスのような音色を出そうと気張ることに、
一体どんな意味があるというのでしょう?

くちびるも、呼吸筋も必要以上に緊張し、
肩に力が入り、
自分らしい表現どころか、
よい音色も出ず、
ピッチすら確実に当たりません。

サックスの音色を出したいなら、
サックスを吹くに限る。

ピッコロにはピッコロの魅力があって、
それを極めることで、
格別な表現を手に入れることができるのです。

とはいえ、自分の楽器はこんなもんである、
と決めつけてしまうのも危険です。

トレーニング段階では、
未知なる音色、
思いも寄らない可能性が眠っていると信じて、
さまざまな角度から自分を追い込んでいくことで、
ピッコロだったものがフルートに姿を変えたりするのが、
人間のカラダの面白いところであり、
素晴らしいところでもあります。

いずれにせよ、

大切なことは、

自分自身と向き合うこと。
自分の価値を過小評価しないこと。
その可能性を最大限引き出すこと。

自分の心身のサイズと、
表現したいこと、
そして、技術力のバランスが取れたとき、
自分史上最強の表現ができる。

そんな風に信じています。

◆【ヴォイトレマガジン『声出していこうっ!me.』】
ほぼ週1回、ブログ記事のインサイドストーリーなど、1歩進んだディープな話題をお届けしているメルマガです。無料登録はこちらから。バックナンバーも読めます。

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, カラダとノドのお話, 声のはなし

  関連記事

「キー決め」の3つのポイント~Singer’s Tips #25~

キーを決める時、 「高いところが出ないから下げる」、 「低いところが歌えないから …

「ライブ直前って、何します?」

「ライブの前って何食べますか?」 「お酒飲みますか?」 「やっぱり結構声って出し …

うまくなる人の5つの条件

「うまくなりたかったら、やっぱヴォイトレしなくちゃダメですかね?」 「学校みたい …

「本番の女神」はベストを尽くした者だけに微笑む

「本番に突然、今まで出なかった高音が、ぽーんと出た。」 「思いがけないカッコいい …

オリジナリティは模倣から生まれる

オリジナリティって、どんなことをいうのだろう・・・? そんなことを考えています。 …

音は「楽器」じゃなくって、「人」が出すものなのです。

かつて、ドラムの神様と言われたスティーヴ・ガッドが来日した際のお話です。 &nb …

「とにかくやる」

「やりたくないときほど練習をすると、やってよかったと思えるわよ」   …

うまくなる人。ダメな人。

「歌は、誰だってうまくなる。」 20年にわたるヴォーカル・トレーニングを通じて確 …

気にならない人は、それでいいじゃん。

多くの人が、何かしらのストレスを感じて、初めて自分の「声」の存在に気づきます。 …

音楽家なら必ず鍛えたい「耳」のお話

耳を鍛えることは、 曲を理解する上でも、楽器や歌の技術や表現力を磨くためにも、 …