大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

歌をはじめる黄金期?

      2019/11/28

歌をはじめるのに、
早すぎることも、遅すぎることもない。

これは私の持論であります。

歌の実力は、
情熱X集中力X持続力X経験XセンスX身体能力X若さ
で決まる。

情熱ばかりでもダメですが、
どんなにセンスや能力があっても、
持続力や集中力がない人はやっぱりダメ。

本気でやりたいなら、
弱いところを別の部分で補う努力をすればいいわけです。

しかし、実は、歌をはじめる黄金期というのはあります。
うん。これはある。
残念ながらあるんです。

それは、中学時代。
年齢で言うと、12才〜15才くらいでしょうか。

この時期は最もカラダが育つ時期であると同時に、
思春期特有の情熱と自信が芽生える時期。

集中力も持続力も、
この時期なにかに必死に取り組むことで、
めきめきと育ちます。

姿勢も呼吸も、
この時期なら心がけ次第でぐんぐんよくなります。

なにより、発声の変なクセがつく前であり、
声帯様の能力も最も開発される時期。

多くの男の子は、この時期は変声期と重なります。

変声期を境に変なクセを身につけたり、
歌に自信をなくしたりする子が多く見受けられるので、
この時期、正しいフォームを身につけることが重要なのです。

なぜ中学生か?
音楽をはじめるなら小学生、いや3才じゃないのか?

そんな声が聞こえてきそうです。

 

絶対音感を身につけさせたい、
ピアノのような楽器を身につけさせたい、
というなら、もちろん、英才教育は有効でしょう。

クラシックの世界のことは、
その筋の専門家に聴いていただくとして、

歌は、「歌いたい!」がはじまりです。

本人が「歌いたい!」という欲望がないうちに、
どんなにレッスンに通っても、
ま〜〜ったく上達しません。
これ、ほんと。

歌ほど人間の感情に結びついているものはありません。

やりたくないのに、やっても無駄などころか、
逆効果だったりします。

実際、小学生のワークショップもいろいろ担当しましたが、
小学生のうちから歌が心から好きな子、
仕事で人前で歌う機会がある子以外は、
まず手応えがありません。

小学生時代はイマイチだった子でも、
中学生になって、
なにかが心の中で芽生え、
急激に上達した子もたくさんいます。

子どもたちに歌を上達して欲しいと願うなら、

歌は強制しないこと。
「歌いたい」という子には思う存分歌わせること。
そして、なにより、
子どもが歌う歌をいちいちディスらないこと。

そうやって、
やる気と歌への愛情と自信をじっくり育てて、
よほど本人が望まない限り、
本格的にはじめるのは、中学生になってから。

お子さんに歌をやらせたいのだけどと、
まわりで悩んでいる方がいらしたら、
ぜひ教えてあげてくださいね。

◆MISUMIからの無料ビデオレターのお申込はこちらから↓
最初の一歩を踏み出せないでいるあなたへ、5日間のメッセージ。


浅草少女歌劇団『ローファーズハイ!!』の冬公演がはじまります。
まさに成長黄金期の中学生たちが毎日お稽古に励んでいます。
ぜひ浅草へ!

 

 - B面Blog, カラダとノドのお話, 声のはなし, 音楽

  関連記事

何がやりたいかわかんない人に教えるのが一番ムツカシイ。

たいがいの無理難題は受けて立つタイプですが、 レッスンを担当することになって、な …

「で?私、何したらいいんですか?」

「初回はカウンセリングをします」と言うと、 いわゆる「体験レッスン」をご希望の方 …

この歌、どうして知らないの?

MTL定番の、 (そして、私自身が「ドS」と認定されるきっかけのひとつとなった) …

成長する人。

成長する人は、心の素直な人が多い。 なんでも無反省に、 他人の言うことを聞けばい …

「これって、声の老化じゃないですか?」

クライアントの声のお悩みはさまざまですが、特に多いのが、 「年齢のせいもあると思 …

正しい「シャウト声」の出し方!

高校時代の自分のバンドのライブ音源という、 恐ろしいものが存在しています。 少し …

「絶対売れる戦略」ってなんだ?

ずいぶん前のことになります。 某大手事務所さんが非常に力を入れていた新人がいまし …

幸せと。寂しさと。そして嫉妬もちょびっと。

自分の仕事の評価を何で計るか? 稼いでいる金額? メディアで取り上げられた数? …

成長に痛みが伴うのは、 本気度を試されているから。

高校1年の夏だったと記憶しています。 手足が痛くて、眠れない夜が続きました。 筋 …

「自分らしさ」を見出す3つの方法。

自分らしさや、自分の「売り」を探すとき、 頭の中で、ああでもない、こうでもないと …