大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

めんどくさいけど大事な「呼吸の話」その2

      2016/07/10

さて、前回お話しした呼吸の話のつづきです。

今日もマニアックにお届けします(^^)

初めての方は、7月14日の投稿、『めんどくさいけど大事な「呼吸の話」』を先に読んでくださいね。

肺は風船と同じだとお話しました。

当然、上下だけでなく、前後左右にも広がります。

下に広がるときに活躍するのが、前回お話した「横隔膜」。

そして、前後左右に広がるときに活躍するのが、今日ご紹介する「肋間筋」です。

 

肋骨はカゴのようなもので、がちゃんと固定されていると考えている人、
とても多いのですが・・・さて?

はいっ。骸骨くんの登場です。(わくわく♪)
7825439_s

実は、肋骨=あばら骨は、背骨と胸骨にぶら下がっている、バラバラの骨。

この骨の間に、肋間筋という筋肉があって、胸の中のスペースを広げたり、狭めたりします。

(実際には内肋間筋、外肋間筋と2種類あるんですよ。マニアな方。念のため。)

 

この肋間筋が広がる力が、よく耳にする「声のささえ」をつくってくれるのです。
原理は至ってシンプルです。

横隔膜が上がるとき、肺を下から上にぎゅっと押し上げると、
息はどどっと一気に出てしまいます。

スクリーンショット 2014-07-19 11.04.51

ちょうど風船の出口を絞った部分にあたる、
声帯さまに、思いきり、強い呼気をぶつけることになります。

これでは、声はコントロールできません。
声帯さまに負担もかかる。
息も続かない。

いいことなしデス。

 

どんなに大きな声、高い声を出すときも、横隔膜を一気に絞り上げるのではなく、
優しく、コントロールしながら上げることはもちろん重要なことなのですが・・・

横隔膜と同じくらい大活躍するのが、肋間筋。

肋骨の間の筋肉が、えいっと踏ん張って、
肋骨を開き、胸を広げようとし続けることで、
呼吸はほどよい圧力、量、スピードを保つことができ、
呼吸のクオリティは黄金になるのです。

スクリーンショット 2014-07-19 10.47.00

まとめです。
歌う時のみならず、いい声を保とうとするときに大切なのは・・・

1下っ腹周辺筋肉を上手につかって、横隔膜の上がるスピードをコントロールすること。2.肋骨をしっかりと開いた状態に保つこと。

この2点は鉄板です。

原理はわかったけど、じゃあ、どうやってやればいいの?
・・・というお話はまた今度!

 - カラダとノドのお話

  関連記事

地上で最も完璧な楽器

ピアノ。アコースティックギターやヴァイオリン。 管楽器たち・・・ 歴史ある楽器た …

「カラダが硬い」を放置しちゃダメです!

カラダの柔らかい人は、ストレッチをすると気持ちがいい。 だから、頻繁にストレッチ …

「カラダの管理」はすべてのパフォーマーの絶対的義務である

「お土産、甘い物にしちゃったんですけど、 もしかして、MISUMIさん、甘い物と …

風邪でもなんでも 「声を出さなくちゃいけない時」に絶対やること

現在アニメディレクターとして仕事をする姉が、 まだ、ただのアニメオタクだった、中 …

鳴らない楽器と鳴らせないプレイヤー

輸入物の下着の値段を見て、 ひっくり返りそうになったことのある女子なら、 「洋服 …

歌っちゃいけない時。

私のレッスンでは、声出しの真っ最中に、「今日は、もうやめようか」と、レッスンをい …

カラダと仲直りする。

“30 Days of yoga”というYoutubeの …

「軸の弱さ」をなんとかする。~Singer’s Tips #13~

高い声を出すとき、どうしても上を向いてしまう。 大きな声を出す時は、なぜかクビが …

飲み会で声を枯らさないための3つの知恵

感染者数はまだまだ多いとはいえ、 だんだんとコロナとの付き合い方に慣れて来た感の …

『ハードスケジュールなときこそ確認したい声のためにできること』

月末から鹿児島でした。 4泊5日の日程で、 ワークショップ、リハーサル5時間、ボ …