大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

歌っちゃいけない時。

   

私のレッスンでは、声出しの真っ最中に、「今日は、もうやめようか」と、レッスンをいきなり切り上げる、「MISUMIストップ」というのがあります。

MISUMIストップを発動するのは、
本人の声がカスカスしている、枯れているなど、声の使いすぎ、または風邪の症状が見られる時。もしくは、本人の体調不良や寝不足が疑われる時。

そんなときは、声を聞いた瞬間に、まず「おや?」となるもの。
明らかに、いつもと声の艶が違う。響きが違う。
カラダに不必要に力が入っていたり、顔色が悪かったりする時もあります。

どうしても、その日仕事で歌わなくちゃいけないとか、近々仕上げなくちゃいけない曲があるとかなら、丁寧にウォーミングUpをして声を立ち上げるお手伝いをしたり、声をつかわなくてもできるようなメロやハマリの確認をしたりもしますが、そうじゃない限りは、「おとなしく家に帰って寝た方がいいよ」と帰し、後日その日の分のレッスンのリスケをします。

こんな時にレッスンをすると、ノドを壊したり、悪い癖をつけたり、かえって体調を悪化させたり。ロクなことがないからです。
なにより、声を聞いているこちらが、大丈夫かな?などと不安になって集中してレッスンできないのです。

実際、強制送還された後、熱が出たとか、寝込んだという人も多々いますし、
耳鼻科に行ったらノドのトラブルが見つかったなどという人もいます。

いきなり中止を宣告されると、具合が悪くてもレッスンに来ようなどという熱心な子ほど、「いや。大丈夫です!やらせてください!」とムキになるのが常です。
体調管理ができてなくて、本当に申し訳ありませんと、平謝りする子もいます。

いいのいいの。
どんなに気をつけてたって調子の悪い時や、疲れがたまってしまうときはあるもの。
レッスンてのは、調子を上げるためにやるものだからね。
無理して調子悪くしてどないすんねん。

こうやってみんな少しずつ、自分のカラダの声が聞けるようになり、体調管理がうまくなっていくものですから。


 

■「歌いたい!」を「歌える!」に変える、MTLシンガーズLab. いよいよ9月スタート!

■無料メルマガ『声出していこうっ!』。
ご登録いただいた方全員に、『朝から気持ちい声を出すためのモーニングルーティン10』をプレゼント。バックナンバーも読めますのでぜひ。ご購読はこちらから。

 

 - MISUMIの日記&メッセージ, カラダとノドのお話, 今日のレッスンから

  関連記事

優秀な人は群れない。媚びない。焦らない。

今日は朝から、頭脳派かつ純粋にそれぞれの仕事を追求するリアルプロフェッショナルの …

no image
「ドキッ」で観客の心をつかむ

最近精力的にライブを行っているアーティスト・リンダ(仮名・なぜか外人名(^^)。 …

「伝えたい」が伝わると、マジでうるうるします。

「どうしたら伝わるのか」。 物心ついた頃から、これこそが、私の人生のテーマです。 …

「とにかく、ゆっくり」から、はじめよう。

以前、書道家の方に自分の名前の書き方というのを習ったことがあります。 先生が繰り …

no image
心機一転、リニューアルスタートです!

  『シゴタノ!』大橋悦夫さんに手取り足取りご指導いただき、 『声出し …

「できないこと」ではなく、 「今できること」に意識を向ける

うまく行かないときに、 うまく行かないところにばかりフォーカスすると、 本来でき …

ネックの曲がったギター vs. 姿勢の悪いヴォーカリスト

姿勢やフォームが悪いヴォーカリストは、 ネックの曲がったギターに例えるのがもっと …

「中上級の壁」を越えるための5つのポイント

今日は午前中から、外資系企業でバリバリと働く才媛かつ、美しき女性シンガーAさん、 …

no image
奥歯の話

普通に口を閉じてみてください。 上の奥歯と下の奥歯の間、すき間空いていますか? …

「がんばれる」仕組みをつくる

世の中にはがんばれる人と、そうでない人がいます。 がんばれる人からすると、がんば …