大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

基礎を忘れるために、基礎を学ぶのだ!

   

ボイトレが一番チカラを発揮するのは、すべてを忘れて、表現に没頭するとき。

フォームだの、呼吸だの、ピッチだのと、あれこれ気にすることも、もっと言うなら、どんな声を出そうとか、フレージングはどうしようなどと仕掛けることも、表現という場においては、すべてがノイズ。

歌でも、スピーチでも、思いのエネルギーがすべて声になり、ことばになり、音楽になって、聞く人の心を動かすことが究極のゴール。

だからといって、感情にまかせて、デタラメに表現すればいいということではありません。
音楽には音楽の、スピーチにはスピーチの、秩序があり、メッセージがある。
「パフォーマンスしている」という意識から離れ、ただ自由に、心のままに歌い、話しつつ、過不足なく、乱れなく、伝えるべきメッセージを届ける。

この、ゾーンとも言うべき状態を実現するために肝要なのは、徹底した準備。
そして、無意識でもカラダが確実にそのポテンシャルのすべてを発揮するための、基礎です。

基礎トレをがんばるのは、基礎を忘れるため。
自分のカラダと完璧な関係性を築いて、すべてをおまかせし、ただただ自分の表現に没頭できる状態をつくり出すため。

お箸でごはんを食べるように。
自在に文字を書くように。
カラダに刻んでゆきたいものです。

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, カラダとノドのお話, 歌を極める

  関連記事

no image
歌の構成要素を分解する〜ラララで歌う〜

大好きな曲を、オリジナルを歌っている歌手と一緒に歌う。 何度も、何度も、繰り返し …

no image
ボイトレにストレッチって、必要ですか?

ボイトレをはじめると、必ずと言っていいほどやらされるのがストレッチです。 やれ「 …

ボイストレーナーなんかいらない自分になる。

『ダイジェスト版MTL voice&vocal オープンレッスン12』が …

あがり症を克服する3つの方法

ビジネスボイトレを受講する人には、「あがり症」を訴える人が少なからずいます。 「 …

「出会い」を求めるなら、手間暇お金を惜しまない!

「僕、どんなの聴いたらいいんでしょう?」 学生から、時々、こんな謎の質問を受けま …

練習するのは、全てを忘れるため

「テクニックなんかどうでもいいんですよ、歌は。」 ピッチだ、リズムだ、表現力だと …

「心」じゃなくって、「耳」で聞くのだよ。

こんなことを書くと、また誤解されそうですが・・・ 音楽ファンや愛好家はともかく、 …

実力を磨く「三位一体」

学生時代に一緒にバンドをやっていた仲間と、 3〜4年ぶりに同窓会的なライブをする …

「やる気はあるのにできない症候群」の処方箋

「練習しなくちゃいけないってわかってるでしょ? やらないと、できなかった自分に落 …

表現力ってなんだよっ!

「いやー、ベッドミドラーは、ほんっとに表現力が素晴らしいよね」 修業時代、 当時 …