大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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「Fが難しくて弾けない」って理由でギター、やめる〜?

      2017/11/18

昨日、某大手プロダクションのお偉い方との会話。

 

M「最近、ギター科の学生が減っているんですよね。」

某氏「どこの学校もそのようです。」

M「ギターをやりたい若者が少ないんでしょうかねー??
そんなこと、起こりえますか??」

某氏「ギター、難しいからです。」

M「はぁ?・・・ドラムは人気あるみたいなんですけどね。」

某氏「叩けば音が出るからです。」

 

はぁーーーー?????

 

なんでも最近の若者はこらえ性がない、
Fが弾けないだけで、自分にはギターの才能がないと思い、
さっさとやめてしまうとか・・・

まして、難しいカッティングや、
早弾きの練習なんかする気にもならないと言うことらしい。

 

こらこらこらぁ〜〜

事の真偽はともかくとして、

そういうことを攻略するのも、
楽器習得の楽しさのひとつじゃないのかぁ〜!?

 

歌や楽器の練習は、
右肩上がりに結果の出るものではありません。

タイミングを合わせてボタンをクリックしさえすれば、
どんどんポイントを稼げて、ステージをクリアできて、
グレードやステージが上がって、
やがて、めでたくフィニッシュ✨

などというように、

わかりやすい成果の目安も、
答えの決まった質問も、
次々用意されるステージもありません。
 
何から練習したらいいのかわからない。
 
どうやったら上達するのかもわからない。
 
練習って何なのかさえよくわからない。
 
そんな絶望に近い真っ暗闇の中で、
手探りで、手探りで、
とにかく前に、いや、前だと思う方に進む。
 

たとえば、歌本があって、
CとGとFと・・・という具合にコードが書いてあって、
そのコードの押さえ方がわかったとして、

それは答えでも、なんでもなく、

こっちの方に行くといいみたいでっせ〜。

みたいな、単なるガイドブックのようなもので、

じゃあ、Cのコードが鳴らせるように、
ギターの弦の上に指を置いてみたって、

それ自体はほんのとっかかりの、とっかかりの、
そのまたとっかかりでしかなく。

 

 

それでも、そうやって、
まず、興味を持って、
指を弦の上に置いて、
弦を一本一本はじくような、

いわば、薄い薄い層を、
1枚ずつ、1枚ずつ重ね合わせていくような作業の果てにしか、
上達というのはないわけです。

 

しかしね。

人間は、生まれたときから、
この、薄い薄い層を積み重ねるような修行を
ずっとずっと続けています。

たとえば、生まれながらにぺらぺらと言語をしゃべるこどもはいません。

たとえ、ママ、パパという単純なことばでさえも、
発音、発声できるまでには、
脳内で、それはそれは、大変な改革と努力がなされている。

習わずに話せることばは一言もありません。

どんな短い単語でも、
話せるのは、すべて、「学習」の成果です。

人は、そんな果てしない言語の学習を、
生まれた瞬間からはじめるのです。

手や指の使い方しかり。

コミュニケーションスキルしかり。

 

もしも人間が生まれながらに臆病で怠惰で、
「果てしない学習」というものに耐えられない動物だったら、
おそらく人類はこんなに繁栄していないに違いない。

 

あぁ、ちょっとテーマが大きくなってきましたね。

 

 

つまり、今日言いたいのは、

最初っからこともなげにFのコードが押さえられる人はいないってことです。

だから、弾けるとカッコいい。

だから次に進みたくなる。

 

そうやって、一歩ずつ、一語ずつ。

前に進めた人だけが見える特別な世界を、
もっともっとたくさんの人に見て欲しい。

そうやって、
一歩ずつ進む苦しさを楽しめるような若者にもっともっと出会いたい。

そんなことを考えた一日でした。

 

 

ほんと。お願いしますよ。

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