「10代の魔法」を謳歌するのだ
いやぁ、スィートSeventeenとはよく言ったものですが、
ティーンエイジャーほどめんどくさいものはそうありません。
あげく、そのティーンエイジャーが、
アーティストの卵という、
めんどくさい立ち位置、
めんどくさい感受性の持ち主だったりすると、
めんどくささ3乗、4乗です。
何しろ、おとなを信用していない。
黙って言うことを聞くのは嫌。
叱られるのももちろん嫌。
とはいえ、おとなに嫌われたくはない。
成功するためにはおとなの力を借りないといけないのも、よくわかっている。
だから、なおさら、おとながムカつく。。。
頭のいい子もいます。
おとなの世界をちゃんとわかっている子もいます。
物わかりのいい「よい子」を演じられる子もいれば、
アチチュードをけして崩さない子もいます。
レッスン中、ず〜〜っと鏡を見て、
自分のカラダのお肉をつまみ続け、
「今日の夜ってコンニャクくらい食べても大丈夫ですかね?」
などと、ダイエットと食べる心配ばかりをしていた子もいました。
隙あらば、好きな男の子の話や、
デートの話をしてくる子もいました。
事務所的にはなんにもスタートしていないのに、
勝手に高校を中退して上京してしまった子もいました。
お医者さんから処方された、
精神安定剤などなどのクスリのせいで、
駅徒歩7分という駅からウチまでの道のりが歩けず、
タクシーに乗ってきた子もいました。
作品がすべてできあがって、
CD発売直前に、どうあってもこのまま出したくないと、
強硬にすべてを白紙に戻させた子がいました。
気に入らないスタッフを次々、
自分の近くから排除していった子もいました。
会社の手の内や年計をすべて正確に把握し、
なにもかもを冷静に利用しようと策を練っていた子がいました。
事務所の人に叱られた、
東京はキツい、
おとなたちは何を考えているのかわからない。。。
そんな「愚痴」が止まらない子も、たくさんいました。
姿勢が悪くて、真っ直ぐ立っていられなくて、
すぐしゃがみ込んでしまう子がいて、
レッスンでできないことを指摘されると、
「悔しい」といってボロボロ泣き出す子がいました。
何を言ってもちんぷんかんぷん。
まったくコミュニケーションの取れない子がいて、
どんなに無理難題を振りかけられても、
ニコニコ前向きで、
気合いだ、根性だと、体育会的な子もいました。
熱心に熱心にレッスンに取り組み、
次にやってくるときには、必ず課題をクリアしていた子もいれば、
一切予習も自習も復習もせず、
毎回毎回、どやされていた子もいました。
思い返せば、どの子も、どの子も、
みな「10代の魔法」にかかって、
キラキラと輝く瞳をしていました。
やがて、そんな10代の魔法は、
知らぬ間に、しかし確実に、
そして平等に誰からも消え失せます。
成功した子。
途中で方向転換した子。
挫折した子。
道半ばの子。
すっかりおとなになった子。
まだまだとんがっている子・・・
成功したのは、優等生ばかりとは限りません。
いい気になって、イタい目に遭った子も、
いい子過ぎて、イタい目に遭った子も、
突っ張って、突っ張って、
そのまま走り抜けている子もいます。
不良のアチチュードを貫いて、
契約切れになってから後悔した子もいるでしょう。
おとなに気に入られて、
盛り上げてもらって、
でも結果が出なくて、卒業になった子もいます。
一見、苦労なくデビューしたのに、
あっという間に契約終了して、そのまま別の道に進んだ子もいます。
そこから這い上がって、
成功し、スターになった子がいて、
事務所に関係ない活動が世間に認められて、
やがて事務所を動かした子もいます。
きっと、誰にも、
10代の魔法にかかり続けることはできなくて、
馬車はいつかカボチャになり、
ピーターパンもいつか、
人生には「やりたくないこと」と、
折り合いをつける必要があることを学び、
そして、
あんなに敵視していた、「おとな」というものに、
いつの間にか自分自身もなっていることに気づきます。
どんな10代を過ごせばいいのかなんて、誰にもわかりません。
どんな人の運命も決まっていて、
だから、何をしても無駄なんだ、なんて悲観的なことを言う気も、
さらさらありません。
ただ。
どんな道を歩んだ子たちも、
どんな10代を過ごした子たちも、
その時、その時を振り切って生きていた子に、
後悔の余地はありません。
精一杯突っ張った。
精一杯駆け抜けた。
精一杯遊んだ。
精一杯ぐうたらした。。。
自分には、それしかできないから。
そんな自分を思いきり味わった。
「一点の後悔の余地もない人生を歩む。」
10代の頃からの私の理想です。
魔法にかかって、キラキラしているときだからこそ、
瞬間、瞬間を振り切って生きる。
そんな習慣をつけるから、魔法が消えた後も、
次の10年、その次の10年と、
ずっと振り切って、後悔の余地なく生きることができるのではないか。
キラキラとした瞳で行き続けられるのではないか。
ひたむきに。
ただ、進むのです。
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