接客が嫌いなら客商売はやめたまえ。
2020/11/06
「接客が嫌いなのに客商売をやっている」という、
意味不明な人に、時々出会います。
それは、こともあろうに、MTL Liveの終了後、
インストラクターズへのお疲れさまを込めて、
「軽く食事をしていこう」となったときのことです。
日曜日というのもあって、
スタジオ周辺には、
ほとんど開いている店がありません。
しばらく歩いて、
薄暗い角地のビルに、地下に降りる外階段と、
美味しそうな料理が賑やかに並ぶ看板を見つけました。
よかったね〜といいながら、
地下に降りて行くと、
屋外にテーブルが2つ。
店内にはコの字型の広いバーカウンターがありました。
お客さんはひとりもいません。
店主は階段を降りていく私に気づくと、
無言で立ち上がりました。
「まだ大丈夫ですか?」
という私の問いかけも、
ライブ直後でテンション高めだし、
気持ちのよい夜だから、
「外の席の方がいいかな?」と、
弟子たちに話しかけているのも、
まったく耳に入らないのか、
主人は無言のままカウンターの角を片付けて、
4人分の席をつくっています。
まぁ、お客さんが他にいるわけじゃないし、
外に出てきて給仕をするのも大変なのだろうと、
そのまま角の席に座った私たち。
テーブルの上にキーボードが置いてあったので、
思わず、
「ここはライブもやるんですか?」と聞くと、
「え?」と無表情な主人。
「キーボードあるから」と言えば、
「やりません」と、ぽつり。
「じゃあ、ご主人が演奏するんですか?」
「しません」・・・。
その後も2~3言、話しかけましたが、
そのたびに返ってくるのは紋切り型の返事。
にこりともしません。
なーんか、あんまり感じのいい店じゃないな、
なんだろ、この「話しかけるな」オーラ・・・。
だから、人っ子ひとりいないのね。
などと、ぽろぽろ思いましたが、
なにしろ気分のいい夜ですから、
そんなことはどうでもいい。
次々と出てくる食事は美味しいし、
いい感じでお酒もまわってきたし、
みんなと、ハードだった一日を振り返り、
談笑しておりました。
盛り上がるほどに、
産休中の弟子のまあこさんが思い出され、
さぞライブに来たかったろう、
きっとこの会にも出たかったろう・・・と思いあまって、
Facetimeで電話をかけたのでした。
かけた瞬間繫がらなかった電話も、
まあこさんからすぐに折り返しがかかってきて、
座は一気に盛り上がりました。
「おぉ、まあこさんっ!」
みんなが盛り上がった次の瞬間、
iPhoneをのぞき込むみんなの傍らで、
インストクターのユウコさんが
「あ、すみません!
MISUMIさん、ダメみたいです。」
と居住まいを正しました。
ふと見ると、店主がすごい目で睨みながら
何かを言っている。
私の耳の焦点は、完全にiPhoneの音声にあっていますから、
ことばはひとことも聞こえません。
それでも、あぁ、うるさかったのね、
電話を切らなくちゃ、と悟った私は、
咄嗟に、iPhoneの音声ボリュームを一気に下げながら、
画面の中のまあこさんに向かって、
「ごめんね。お店が・・・」と言おうとしたその瞬間です。
「やめろっつーの!」
と、店主はいきなり大きな声を出して、
カウンターの向こうでパーンッと大きな音をたてて、
脅かすように手を打ちました。
前代未聞な経験です。
え?ここ、そういうお店?
即座に電話を切って、
妙に冷静な気持ちで店主をじっと見返せば、
敵はすっと目をそらし、
別のことをしているふりをしています。
いつのまにか店には、業界人風男性客がひとり、
そして、カウンターの反対側の角に
若い女性がひとり。
店主は、へらへらと笑いながら、
一所懸命その女性に話しかけています。
なるほど、あの女の子にいいとこ見せたかったのね。
なんだかあまりにお粗末で、
くだらなすぎて、
そのまましばらく、
普通にみんなとおしゃべりをした後、
何ごともなかったように店を出ました。
私は一切見なかったので気づきませんでしたが、
主人は帰り際、妙にへらへらしていたそうです。
弟子たちは口々に「おとなですね」と言ったけど、
そういうわけではありません。
ただね。
でかい声くらいじゃひるまないし、
なにより、
最高の一日をくだらない感情で台無しにされるのが嫌だったんですね。
一見さんお断りなら、潔くそう書けばいい。
楽しそうに談笑されるとうるさいなら、
グループ客は禁止にすればよろしい。
たかが一瞬のFacetimeがそんなにがまんできないんなら、
「お代はいらねーから、とっとと帰ってくんねぇ」
くらいの、気持ちいい啖呵のひとつも切れないものか。
弟子のマッキーいわく。
「大阪ならあんな店、とっくに潰れてます。
大阪人は、とにかく言いふらしますから」。
立ち上がれ。東京人よ。
そして、なんと言っても・・・
見知らぬ街で、
お客さんがひとりもいない店には入らないに限りますな。

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