大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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基礎の難しさに気付く~Singer’s Tips #4~

      2021/04/18

歌を上達したいという人に、
ウォーミングアップやストレッチ、
ヴォイトレなど、基礎の指導をしていると、折に触れ、
「これは、週に何日ぐらいやればいいですか?」
「だいたい、どれくらいの時間をかけたらいいですか?」
などという質問を受けます。

正解は、「自分がその時必要だと感じるものを、ほどよくやる」。
つまり、自分で決めることなのですが、

どんなことでも、「ほどよく」がわかるのは、
ある程度習熟してからでしょう。

また、時々、
教わったことはすべてやっています、
という人もいるのですが、
残念ながら、それも非効率です。

レッスンでいろいろなアプローチをするのは、
その人のレベルやウィークポイント、
可能性を探るためです。

そのすべてを、
毎日の練習メニューにしていたのでは、
肝心の「歌の練習」をする時間が限られてしまいます。

オススメなのは、メニューを最低限に絞り込むこと。
そして、それを、とにかく、完璧にできるまで、
毎日やり続けることです。

メニューは2つ、3つでかまいませんし、
基礎練習の時間は短くてかまいません。

ただし、集中して、毎日の自分の状態を確認しながら、しっかりやる。
そして、納得するまで、何週間でも、何ヶ月でも、何年でも、
やり続けることです。

どんなに簡単な基礎でも、
基礎を完璧にやるというのは、
非常に高いスキルとテクニックを要求されるものです。
基礎の難しさに気付くことが、
自分の習熟度のバロメーターでもあります。

基礎が完璧であるということと、
いい歌が歌えるということは、
まったくイコールではありません。

基礎練習は効率よく、さっさと終わらせて、
本当にやりたい練習に移行してくださいね。

ちなみに、「歌の練習」を、
何時間やればいいか?
週に何回やるべきか?
みたいな疑問を持つのは、ナンセンスです。

状況が許せば、
何時間でも歌いたいのが、歌い手というもの。
気がすむまで歌ってください。

気がすむまで、ストレスなく歌い続けられるノドをつくっていくのも、
修行ですよ。

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