大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「自分基準」を育てる。~Singer’s Tips #3~

   

「本当に実力がある人」って、
今、自分が何をしているか、
確実に理解しているものです。

英語的に言うと、
“He knows what he is doing.”

1曲歌い終わった後に、

「何小節目の●●ということばを噛んだ。」
「Bメロの後半が乱れた。」
「インターのフレーズはなかなかよかった。」

・・・など、
どんなに夢中で歌っていても、
かなりな精度で、冷静に、明確に、
自分で自分の歌をジャッジしているもの。

そして、歌いながら、
微調整を加えているもの。

その日の自分のコンディションがわかっているし、
コンディションが悪いなら悪いで、
最低限のお仕事をするには、
どうすべきかということもわかっている。

言い換えれば、
こうした判断力、対応力、対処力を身につけることこそが、
取りも直さず、プロとなるための修行と言えます。

イケてないうちは、
自分基準が甘いので、

「自分ってどうなんだろう?」と迷ったり、
自信があるのに、周囲に評価されず、
ストレスがたまったり。

とにもかくにも、
「自分基準」を育てる。

ここがスタートであり、ゴールなんですね。

◆一生に一度、集中的に学ぶだけで、”自分で自分に教えること”を可能にするMTL 12。毎週日曜日10時〜Youtubeにて公開中。
無料メルマガ『声出していこうっ』。バックナンバーも読めます。

 - B面Blog, Singer's Tips, The プロフェッショナル, 歌を極める

  関連記事

生(リアル)な音、ください。

溝が浅くなるまで、繰り返し聞いたレコード。 ぼろっぼろになるまで、使い込んだ歌詞 …

「プロの理想」を押しつけちゃいかんのだ。

その昔、一緒に曲をつくるためよく入り浸っていた友人のギターリスト・K氏の家には、 …

「華がある人」になる

「あの人は華がある。」、 反対に「華がない」ということばを耳にします。 &nbs …

「うまい」ってのは、ほめ言葉じゃない。

「うまいね」って言われたら、まだまだだと思え。 常日頃、人に、自分に言いきかせて …

「へたくそな自分」を楽しむ

一昔前までは、 『NHKのど自慢』に登場するような、 歌好きのひとたちって、 も …

「数値」と向き合う。「ヒト」と向き合う。

◆歌の「うまさ」は数値化できる。 専門的な機械を使えば、いや、近年ではそこそこの …

『ライブ前に自分に問うべき10のことば』

ライブ直前、自分のブログを読み返していると、 なんだか胃が痛いような気持ちになり …

確信だけが、人の心を動かす。

「MISUMIさん、バッチっす!OKです!」 レコーディングのお仕事では、 歌っ …

1音にこだわる!~Singer’s Tips #6~

歌のトレーニングの基本中の基本であり、 上達のために最も重要なことのひとつは、 …

「向いてない」んじゃない、「イケてない」んだ。

「お前、無理してそんな歌、歌うなよ。 お前には似合わないぞ。」 「MISUMIち …